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2026年度版|介護職員の処遇改善加算の月額賃金改善要件を徹底解説

令和6年度(2024年度)に3つの処遇改善加算は一本化されましたが、2026年度(令和8年度)は介護報酬の期中改定により、6月を境に加算区分や加算率が見直されます。月額賃金改善要件を確認する際も、注意する必要があります。

本記事では、処遇改善加算の取得の要件の一つ「月額賃金要件」にフォーカスして解説します。

また、新加算の取得についてはこちらの資料で詳しく解説しております。ぜひダウンロードしてみてください。

訪問介護サービス向け 2026年度処遇改善加算取得マニュアル

介護保険サービス(訪問介護)において、処遇改善加算を取得する必要な要件や加算率などを、2026年度の臨時改定を踏まえてわかりやすくまとめています。

これから取得する事業所は要件を正しく理解するために、そして、すでに取得済みの事業所はセルフチェックなどにご活用ください。

はじめに「介護職処遇改善加算」について簡単に整理しておきましょう。

まず、処遇改善加算の一本化についておさらいするとともに、2026年の改定を見据え「今後、何に注意して加算取得を運用したら良いか」理解を深めることができます

また、大まかな要件を初めに整理しておくと、関連する要件の区別もつきやすいです。

処遇改善加算は2024年に一本化!2026年には新区分追加

処遇改善加算は令和5年度(2023年)までは処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3つの加算がありました。

本記事ではまとめて「旧処遇改善加算」として以後、解説します。旧加算の問題点として次の点が指摘されていました。※

  • 事務作業の煩雑さ、制度の複雑さ、職種間の賃金バランス、利用者負担の増大。
  • 加算を取得しない事業所が存在する。※特に特定処遇改善加算の取得率は7割台。

上記の中でも「事務作業の煩雑さ」は大変です。

事実、2024年度は3つの処遇改善加算が1本化され事務手続きも膨大となることから、猶予期間が設けられました。

2026年度も一部要件について特例の取扱いが設けられています。

処遇改善加算の3つの要件

新しい処遇改善加算は次の3つの要件があります。それぞれ、簡単にまとめ「月額賃金改善要件」について後で詳細に解説します。

  • 月額賃金改善要件
  • キャリアパス要件
  • 職場環境要件

月額賃金改善要件はⅠとⅡに分かれます。要件はそれぞれ以下のとおりです。

  • 月額賃金改善要件Ⅰ 処遇改善加算Ⅳ相当の見込額の1/2以上の月額賃金改善
  • 月額賃金改善要件Ⅱ 旧ベースアップ等支援加算額の2/3以上の新規の月額賃金改善

月額賃金改善要件は処遇改善加算による報酬のうち、一定額以上を月額賃金改善として支給することを求める要件です。

キャリアパス要件の概要は次のとおりです。

  • キャリアパス要件Ⅰ 昇給、責任の範囲、昇進の条件と賃金体系を整備する
  • キャリアパス要件Ⅱ 資質向上向上のための研修計画の策定と実施、実施時の配慮
  • キャリアパス要件Ⅲ 経験、資格に応じた昇給の条件整備と人事評価の仕組み化
  • キャリアパス要件Ⅳ ベテラン介護職員のうち1人以上は年額440万円以上
  • キャリアパス要件Ⅴ 介護福祉士の人員配置基準

キャリアパス要件は「研修計画を立てて、昇給と昇進に向けた賃金体系や人事制度を整備してください」といった内容です。

最後の職場環境要件は8つの項目に分かれ、キャリアアップや入職促進に向けた取組、腰痛を含む心身の健康管理に加え、生産性向上や協働化に関する取組も重要になります

キャリアパス要件及び職場環境等要件には2026年度は特例あり

2024年の処遇改善加算一本化の激変緩和として、猶予措置が設けられましたが、2026年度も、キャリアパス要件や職場環境等要件については特例の取扱いがあります。

具体的には、令和8年度特例要件を満たす介護サービス事業所等に限り、処遇改善計画書で誓約したうえで、令和9年3月末までに必要な整備等を行えば、申請時点から要件を満たしたものとして取り扱われます。

一方で、月額賃金改善要件については、このような特例の対象ではありません。月額賃金改善要件を確認する際は、キャリアパス要件や職場環境等要件の特例とは分けて理解することが重要です。

月額賃金改善要件は、簡単に言うと「処遇改善加算のⅣで入る報酬の半分は“介護職員”に毎月支給してくださいね」という加算要件です。
※2026年6月の改定以降は対象が介護職員のみから介護従事者となり、幅広い職種に配分することが可能となります。

この要件が設けられた背景には、慢性的な介護人材不足と、その要因の一つである賃金の低さと処遇の不安定さがあります。介護職は身体的・精神的に負担が大きい仕事でありながら、他産業と比べて給与水準が低く、定着率の低さが長年の課題とされてきました。

そのため、一時的な手当ではなく、毎月の基本給や定期的手当により、継続的な処遇改善(ベースアップ)を図ることが不可欠です。

この考え方は、2022年度から導入された「ベースアップ等支援加算」にも現れており、月額賃金の底上げを制度的に支援してきました。2024年度の加算一本化により、その趣旨は「月額賃金改善要件」として継承されました。つまり、旧ベースアップ等支援加算で求められていた継続的な処遇改善の考え方が、現在の処遇改善加算の月額賃金改善要件として組み込まれたと言えます。

このような経緯を経て、2026年6月の報酬改定では算定率・区分の見直しにより、介護職員のさらなる賃上げの実現を後押ししています。

具体的には以下の要件を満たす必要があります。

  • 月額賃金改善要件Ⅰ 処遇改善加算Ⅳ相当の見込額の1/2以上の月額賃金改善
  • 月額賃金改善要件Ⅱ 旧ベースアップ等支援加算額の2/3以上の新規の月額賃金改善

それぞれ詳しく説明します。

月額賃金改善要件Ⅰ

月額賃金改善要件Ⅰは処遇改善加算Ⅳ相当の見込額の1/2以上を基本給または決まって支払われる手当などで支給することが必要です。

例えば、訪問介護を例にすると処遇改善加算Ⅳの報酬は14.5%です。その1/2だと7.25%は介護職員を中心に支給する必要があります。
2026年6月からは加算率が見直され、処遇改善加算Ⅳは17.0%となるため、その1/2に当たる8.5%分を毎月の賃金改善として支給する必要があります。具体例を示すと以下のとおりです。

月額賃金改善要件Ⅰ 計算例(2026年5月まで)

総介護報酬300万 × 処遇改善加算Ⅳ 14.5%=43.5万円(このうち21.75万円以上を毎月支給)

月額賃金改善要件Ⅰ 計算例(2026年6月から)

総介護報酬300万 × 処遇改善加算Ⅳ 17.0%=51万円(このうち25.5万円以上を毎月支給)

上記の金額を事業所の裁量により、介護職員を中心に配分することが必要です。
2026年度は対象が介護職員のみから介護従事者まで拡大されているため、どこまでを対象に含めるか、事業所の実情に応じて計画しましょう。

注意点として、賃金改定を実施する場合は賃金表の改定(ベースアップ)が求められる点には注意しましょう。

2026年の介護報酬前後で算定率は異なります。

表【加算Ⅳの算定率】

サービス区分(2026年5月まで)
加算Ⅳ
(2026年6月から)
加算Ⅳ
訪問介護14.5%17.0%
夜間対応型訪問介護14.5%16.7%
定期巡回・随時対応型訪問看護14.5%16.7%
訪問入浴介護※6.3%8.5%
通所介護6.4%8.3%
地域密着型通所介護6.4%8.9%
通所リハビリテーション※5.3%7.0%
特定施設入居者生活介護※8.8%10.8%
地域密着型特定施設入居者生活介護8.8%10.8%
認知症対応型通所介護※12.2%15.7%
小規模多機能型居宅介護※10.6%12.8%
看護小規模多機能型居宅介護10.6%12.5%
認知症対応型共同生活介護※12.5%14.9%
介護老人福祉施設9.0%11.3%
地域密着型介護老人福祉施設9.0%11.3%
短期入所生活介護※9.0%11.3%
介護老人保健施設4.4%5.9%
短期入所療養介護 (老健) ※4.4%5.9%
短期入所療養介護(病院等(老健以外)) ※2.9%4.0%
介護医療院2.9%4.0%
短期入所療養介護(医療院)※2.9%4.0%
※介護予防を含む
月額賃金改善要件Ⅱ

月額賃金改善要件Ⅱに関しては対象となる事業所は限定されます。「旧処遇改善加算を取得していたが、旧ベースアップ等支援加算は算定していなかった」事業所が対象となります。

具体的には以下の条件を満たす場合です。

  • 令和6年5月31日時点ですでに旧処遇改善加算を算定している
  •  旧ベースアップ等加算を算定していない事業所
  • 令和8年3月31日までの間に、新規に新加算を算定する場合

月額賃金要件Ⅱは「前年度と比較して、旧ベースアップ等加算相当の加算額の2/3以上の新たな基本給等の改善(月給の引き上げ)を行う」加算です。

月額賃金改善要件Ⅱは、旧ベースアップ等支援加算を算定していなかった事業所に関わる要件であり、対象となる事業所は限定されます。

この要件に該当する事業所は限られるので、多くの事業所は月額賃金改善要件Ⅰを目指すことになります。月額賃金改善要件ⅠとⅡを表で比較しました。

項目月額賃金改善要件Ⅰ月額賃金改善要件Ⅱ
対象事業所加算Ⅳを算定するすべての事業所旧ベースアップ等支援加算を取得していなかった事業所で、新加算を新規に算定する事業所
(※一定条件あり)
要件の内容加算Ⅳで得た報酬のうち、1/2以上を毎月の基本給や定期的手当として支給すること旧ベースアップ等支援加算額相当の2/3以上の新たな賃金改善(月給の引き上げ)を行うこと
適用期間通年経過措置的

最後に、月額賃金改善加算のQ&Aについてもまとめました。注意点もあるため、ご覧ください。

令和8年3月末時点の「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第1版)」※より、月額賃金改善要件についての内容を抜粋します。

【月額賃金改善要件】問3―1 月額賃金改善要件Ⅰについて、「基本給等以外の手当又は一時金により行って いる賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たすこととして差し支えない。 」としているが、一部の職員の収入が減額されるような付け替えは可能か。
(答)・事業所全体の賃金の水準及び個別の各職員の賃金額については、就業規則等に基づき、 労使で協議の上設定されるものである。介護サービス事業所等は、月額賃金改善要件Ⅰを 満たすような配分を行った結果、事業所全体での賃金水準が低下しないようにするだけ でなく、各職員の賃金水準が低下しないよう努めること。

明確な違反とはならないが、相当たる理由がない限り「全職員の賃金改善」が求められるという内容です。

2024年度の処遇改善加算にも要件緩和が設けられたように、2026年度も介護職員等処遇改善加算の一部要件には特例の取扱いがあります。
「キャリアパス要件」や「職場環境等要件」については、令和8年度特例要件を満たす場合に限り、処遇改善計画書で誓約したうえで、令和9年3月末までに必要な整備等を行えば、申請時点から要件を満たしたものとして取り扱われます。

しかし、「月額賃金改善要件」については、こうした猶予措置の対象にはなっていません。
つまり、届け出の時点で、処遇改善加算Ⅳ相当の加算額の1/2以上を月額賃金改善として支給する計画になっている必要があります。

画像:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」P.4より引用

介護職員等処遇改善加算の月額賃金改善要件は、処遇改善加算Ⅳ相当の加算額の1/2以上を毎月の賃金改善として支給する要件です。2026年度は対象が介護職員のみから介護従事者に拡大されていますが、生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せ部分は介護職員が対象です。
処遇改善加算の要件を通して、介護職員や事業所の運営を支えるスタッフとともに、事業所が成長していくための土台を作っていくことができます。

具体的には以下のポイントに注意して加算を取得してください。

  • 毎月の基本給や手当をもって、月額賃金を改善すること。
  • 新処遇改善加算Ⅳの加算額の1/2は必ず支給する。
  • 「介護職」以外の職員も含めて対象が拡大される点に留意する。
  • 事業所全体の賃金水準が改善するよう、各職員の賃金水準にも配慮する。

ここまで、月額賃金要件について解説しました。処遇改善加算の取得についてさらに詳しく知りたい方は以下から資料をダウンロードしてください。

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この記事の監修者

カイビズ編集部

重度訪問介護・グループホームなど自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報を正確かつわかりやすく解説しています。

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