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2025年度版|介護職員の処遇改善加算の月額賃金改善要件を徹底解説

令和6年度(2024年)の介護報酬改定により、3つの処遇改善加算は一本化され「区分Ⅰ~Ⅳ段階のシンプルな報酬体系」となって導入されました。新しい処遇改善加算ではこれまでの加算要件を整理・統合し、新たな要件が設けられました。加算取得のハードルを下げるため、2025年度にも要件緩和措置が設定され、取得のチャンスが広がっています。

本記事では、処遇改善加算の取得の要件の一つ「月額賃金要件」にフォーカスして解説します。

また、新加算の取得についてはこちらの資料で詳しく解説しております。ぜひダウンロードしてみてください。

訪問介護事業者向け 2024年度処遇改善加算取得マニュアル

介護保険サービス(訪問介護)において、処遇改善加算を取得する必要な要件や加算率などを、ポイントを整理してわかりやすくまとめています。

これから取得する事業所は要件を正しく理解するために、そして、すでに取得済みの事業所はセルフチェックなどにご活用ください。

はじめに「介護職処遇改善加算」について簡単に整理しておきましょう。

まず、処遇改善加算の一本化された背景を知っておくことで「今後、何に注意して加算取得を運用したら良いか」理解が深まります。

また、大まかな要件を初めに整理しておくと、関連する要件の区別もつきやすいです。

処遇改善加算は2024年3月に一本化!簡略化された背景とは

処遇改善加算は令和5年度(2023年)までは処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3つの加算がありました。

本記事ではまとめて「旧処遇改善加算」として以後、解説します。旧加算の問題点として次の点が指摘されていました。※

  • 事務作業の煩雑さ、制度の複雑さ、職種間の賃金バランス、利用者負担の増大。
  • 加算を取得しない事業所が存在する。※特に特定処遇改善加算の取得率は7割台。

上記の中でも「事務作業の煩雑さ」は大変です。

事実、2024年度は3つの処遇改善加算が1本化され事務手続きも膨大となることから、猶予期間が設けられました。

実績報告は例年7月末となるため、数字の把握や事務作業に苦労をされた方も多いのではないでしょうか。

処遇改善加算の3つの要件

新しい処遇改善加算は次の3つの要件があります。それぞれ、簡単にまとめ「月額賃金改善要件」について後で詳細に解説します。

  • 月額賃金改善要件
  • キャリアパス要件
  • 職場環境要件

月額賃金改善要件はⅠとⅡに分かれます。要件はそれぞれ以下のとおりです。

  • 月額賃金改善要件Ⅰ 新しい加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善
  • 月額賃金改善要件Ⅱ 旧ベースアップ等支援加算額の2/3以上の新規の月額賃金改善

月額賃金改善要件は「処遇改善加算のⅣで入る報酬の半分は“介護職員”に毎月支給してくださいね」という要件です。

キャリアパス要件の概要は次のとおりです。

  • キャリアパス要件Ⅰ 昇給、責任の範囲、昇進の条件と賃金体系を整備する
  • キャリアパス要件Ⅱ 資質向上向上のための研究計画の策定と実施、実施時の配慮
  • キャリアパス要件Ⅲ 経験、資格に応じた昇給の条件整備と人事評価の仕組み化
  • キャリアパス要件Ⅳ ベテラン介護職員のうち1人以上は年額440万円以上
  • キャリアパス要件Ⅴ 介護福祉士の人員配置基準

キャリアパス要件は「研修計画を立てて、昇給と昇進に向けた賃金体系や人事制度を整備してください」といった内容です。

最後の職場環境要件は8つの項目に分かれ、キャリアアップや入職促進に向けた取組、腰痛を含む心身の健康管理などがあります。

キャリアパス要件及び職場環境等要件には2025年度にも緩和措置が適用

処遇改善加算一本化による激変緩和として2024年度には猶予措置が設けられました。キャリアパス要件・職場環境等要件に関しては、要件整備を誓約し、2025年3月末までに要件を満たすことによって加算を算定することを認めていました。

2025年度にはこの猶予措置は撤廃される予定でしたが、2025年度もキャリアパス要件及び職場環境等要件の緩和措置が1年延長されることが決定しました。2026年3月末までの期間で計画的に準備を進めていくことが求められています。

月額賃金改善要件は、簡単に言うと「処遇改善加算のⅣで入る報酬の半分は“介護職員”に毎月支給してくださいね」という加算要件です。

この要件が設けられた背景には、慢性的な介護人材不足と、その要因の一つである賃金の低さと処遇の不安定さがあります。介護職は身体的・精神的に負担が大きい仕事でありながら、他産業と比べて給与水準が低く、定着率の低さが長年の課題とされてきました。

そのため、一時的な手当ではなく、毎月の基本給や定期的手当により、継続的な処遇改善(ベースアップ)を図ることが不可欠です。

この考え方は、2022年度から導入された「ベースアップ等支援加算」にも現れており、月額賃金の底上げを制度的に支援してきました。そして2024年度の加算一本化により、その趣旨は「月額賃金改善要件」として継承されました。つまり、旧ベースアップ等支援加算で求められていた継続的な処遇改善の考え方が、新しい処遇改善加算の月額賃金改善要件として組み込まれたと言えます。

具体的には以下の要件を満たす必要があります。

  • 月額賃金改善要件Ⅰ 新しい加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善
  • 月額賃金改善要件Ⅱ 旧ベースアップ等支援加算額の2/3以上の新規の月額賃金改善

それぞれ詳しく説明します。

月額賃金改善要件Ⅰ

月額賃金改善要件Ⅰは新加算の区分Ⅳで得られる処遇改善加算の報酬のうち、1/2以上を基本給または決まって支払われる手当などで支給することが必要です。

例えば、訪問介護を例にすると処遇改善加算Ⅳの報酬は14.5%です。その1/2だと7.25%は介護職員を中心に支給する必要があります。具体例を示すと以下のとおりです。

月額賃金改善要件Ⅰ 計算例

総介護報酬300万✕処遇改善加算Ⅳ14.5%=43.5万円(約21.8万円は毎月支給)

上記の金額を事業所の裁量により、介護職員を中心に配分することが必要です。

旧加算で基本給や毎月の手当で「賃金改善を実施していた場合」は同じように基本給や手当を変えることで要件をみたすとされています。

注意点として、賃金改定を実施する場合は賃金表の改定(ベースアップ)が求められる点には注意しましょう。

また、介護事業と関連のある事務職員などにも配分は可能ですが、同一法人内でもまったく関係のない事業に従事する職員には配分できない点は押さえておきましょう。

表【新加算Ⅳの取得率】

サービス区分加算率(新加算Ⅳ)
訪問介護14.5%
夜間対応型訪問介護14.5%
定期巡回・随時対応型訪問看護14.5%
訪問入浴介護※6.3%
通所介護6.4%
地域密着型通所介護6.4%
通所リハビリテーション※5.3%
特定施設入居者生活介護※8.8%
地域密着型特定施設入居者生活介護8.8%
認知症対応型通所介護※12.2%
小規模多機能型居宅介護※10.6%
看護小規模多機能型居宅介護10.6%
認知症対応型共同生活介護※12.5%
介護老人福祉施設9.0%
地域密着型介護老人福祉施設9.0%
短期入所生活介護※9.0%
介護老人保健施設4.4%
短期入所療養介護 (老健) ※4.4%
短期入所療養介護(病院等(老健以外)) ※2.9%
介護医療院2.9%
短期入所療養介護(医療院)※2.9%
※介護予防を含む
月額賃金改善要件Ⅱ

月額賃金改善要件Ⅱに関しては対象となる事業所は限定されます。「旧処遇改善加算を取得していたが、旧ベースアップ等支援加算は算定していなかった」事業所が対象となります。

具体的には以下の条件を満たす場合です。

  • 令和6年5月31日時点ですでに旧処遇改善加算を算定している
  •  旧ベースアップ等加算を算定していない事業所
  • 令和8年3月31日までの間に、新規に新加算を算定する場合

月額賃金要件Ⅱは「前年度と比較して、旧ベースアップ等加算相当の加算額の3/2以上の新たな基本給等の改善(月給の引き上げ)を行う」加算です。

旧ベースアップ等加算は約3%相当の月額賃金改定を行う目的で創設された加算で、理由があって取得していなかった事業所向けの加算です。

この要件に該当する事業所は限られるので、多くの事業所は月額賃金改善要件Ⅰを目指すことになります。月額賃金改善要件ⅠとⅡを表で比較しました。

項目月額賃金改善要件Ⅰ月額賃金改善要件Ⅱ
対象事業所加算Ⅳを算定するすべての事業所旧ベースアップ等支援加算を取得していなかった事業所で、新加算を新規に算定する事業所
(※一定条件あり)
要件の内容加算Ⅳで得た報酬のうち、1/2以上を毎月の基本給や定期的手当として支給すること旧ベースアップ等支援加算額相当の2/3以上の新たな賃金改善(月給の引き上げ)を行うこと
適用期間通年経過措置的

最後に、月額賃金改善加算のQ&Aについてもまとめました。注意点もあるため、ご覧ください。

令和6年7月末時点の「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)」※より、月額賃金改善要件についての内容を抜粋します。

【月額賃金改善要件】問3―1 月額賃金改善要件Ⅰについて、「基本給等以外の手当又は一時金により行って いる賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たすこととして差し支えない。 」としているが、一部の職員の収入が減額されるような付け替えは可能か。
(答)・事業所全体の賃金の水準及び個別の各職員の賃金額については、就業規則等に基づき、 労使で協議の上設定されるものである。介護サービス事業所等は、月額賃金改善要件Ⅰを 満たすような配分を行った結果、事業所全体での賃金水準が低下しないようにするだけ でなく、各職員の賃金水準が低下しないよう努めること。

明確な違反とはならないが、相当たる理由がない限り「全職員の賃金改善」が求められるという内容です。

2025年度には、介護職員等処遇改善加算に関する一部要件について、経過措置や要件緩和が設けられています。
「キャリアパス要件」や「職場環境等要件」については、2026年3月末までに要件に対応することを条件に、計画書の提出と誓約によって暫定的な算定が認められる猶予制度が用意されています。

しかし、「月額賃金改善要件Ⅰ」については、こうした猶予措置の対象にはなっていません。
つまり、加算Ⅳを算定する事業所は、2025年4月以降ただちに「処遇改善加算Ⅳの報酬のうち1/2以上を毎月の賃金として支給する」ことが求められます。

処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!
※参考:厚生労働省リーフレット「処遇改善加算がさらに取得しやすくなります!

キャリアパス要件・職場環境等要件で猶予期間が延長されたため、月額

介護職員の処遇改善加算の月額賃金改善要件は「処遇改善加算のⅣで入る報酬の半分は“介護職員を中心に”毎月支給してくださいね」といった内容の加算です。それが介護職員の意欲向上や長期的なステップアップに確実につながります。
処遇改善加算の要件を通して、介護職員とともに、事業所が成長していくための土台を作っていくことができます。

具体的には以下のポイントに注意して加算を取得してください。

  • 毎月の基本給や手当をもって、介護職の月額賃金を改善すること。
  • 新処遇改善加算Ⅳの加算額の1/2は必ず支給する。
  • その他の職員も、配分は認められるが「介護職」が基本である点は留意する。
  • 原則、賃金改定表のベースアップが求められる。
  • 事業所全体の賃金水準が改善するよう、各職員の賃金水準にも配慮する。

ここまで、月額賃金要件について解説しました。処遇改善加算の取得についてさらに詳しく知りたい方は以下から資料をダウンロードしてください。

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この記事の監修者

カイビズ編集部

重度訪問介護・グループホームなど自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報を正確かつわかりやすく解説しています。

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