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2026年度版|訪問介護の介護職員処遇改善加算、令和8年度特例を詳細解説

介護職員等処遇改善加算とは、「主に介護実務を担当する職員を対象に、職員の月給や労働環境を改善することで」得られる介護報酬です。介護職の年収が低すぎるという問題が社会的に注目され、2009年に制度が創設されました。制度創設以降、加算を取得する事業所が増え、介護職員の処遇は徐々に改善されてきました。

これまで3つに分かれていた加算は、2024年度の制度改定により一本化され、より活用しやすくなっています。また、2026年6月には介護報酬改定により処遇改善加算も見直され、新たな区分ができたことや、対象者の拡大など大きな変更が予定されています。訪問介護事業所をはじめとする各介護サービス事業者にとって、制度対応の柔軟性が広がるとともに、加算取得のチャンスも広がっています。

処遇改善加算を取得することで、従業員の賃金増や職員の定着率向上、職員のキャリアップなど様々な面でメリットがあります。この記事では、介護職員処遇改善加算の基本的な内容に加えて、令和8年度特例など最新のポイントについても整理し、訪問介護事業所の皆さまにとって実務に役立つ情報をお届けします。

なお、カイビズでは処遇改善加算取得に向けてのステップを解説した資料も用意しておりますので、ぜひ下記よりダウンロードしてください。

訪問介護サービス向け 2026年度処遇改善加算取得マニュアル

介護保険サービス(訪問介護)において、処遇改善加算を取得する必要な要件や加算率などを、2026年度の臨時改定を踏まえてわかりやすくまとめています。

これから取得する事業所は要件を正しく理解するために、そして、すでに取得済みの事業所はセルフチェックなどにご活用ください。


画像:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」より引用

介護職員等処遇改善加算は「介護事業の加算区分」で報酬額が決定します。
2026年度は6月に介護報酬改定で区分の見直しが行われ、4つの区分が6つに変更されます。

画像は厚生労働省より引用ですが、2026年5月まで区分は最上位Ⅰから最下位Ⅳの4段階区分で設定されています。
最上位になるほど賃金や昇進のルールを制度化することが求められます。
2026年6月からは区分Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳに再編されます。

加算率は「どの介護サービスを提供しているのか」によって異なります。画像の例は「訪問介護」を想定した割合です。

概要の項目では「処遇改善加算は賃金や労働環境を改善して、上位の加算ほど要件(守ること)が厳しくなる」ことだけ理解すると良いでしょう。詳細は後ほど解説します。

次に「どれだけの報酬が見込めるのか」気になる方も多いと思います。実際のシミュレーションをみてみましょう。

画像:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」より引用

今回は立ち上げ初期を想定して管理者、サービス提供責任者、介護福祉士(経験年数10年)の3人で約100万円/月の売上があったと仮定します。

各サービス区分別の割合は上記の画像を参考にしてください。

支給額の計算方法

2026年5月まで、訪問介護における処遇改善加算率は14.5%〜24.5%の間です。
2026年6月からは処遇改善加算の見直しにより、加算率は17.0% ~ 28.7%まで引き上げられます。毎月の処遇改善加算の報酬(例)をみてみましょう。

上記の中で最上位の区分Ⅰを取得し、総介護報酬が月額100万円の場合で約25万円の処遇改善加算が報酬として支払われます。これが2026年6月以降は、最上位加算Ⅰロであれば28.7万円まで引き上げられます。

上記の報酬を3人および関係する職員で分けてみましょう。

注意点として処遇改善加算加算は「介護実務を実施する職員」が主な対象です。介護実務の割合や事業所への貢献度など「職員が納得できる配分ルール」の作成が必要です。

立ち上げ初期は誰がどの程度介護実務を実施しているか分かりやすいため、提供時間割合などを参考にすると良いです。

なお、他職種との賃金格差の問題を初めに説明しましたが、この問題を解決するため他職種にも事業所の裁量で自由な配分が認められています。

以下は例で示した処遇改善加算Ⅰ(2026年6月以降はⅠロ)の配分例です。

2026年5月まで2026年6月以降
管理者2割=49,000円/月2割=57,400円/月
サービス提供責任者2割=49,000円/月2割=57,400円/月
介護福祉士3.5割=85,750円/月2割=57,400円/月
事務職(介護事業と関わりのある方)1.5割=36,750円/月1.5割=43,050円/月

配分のポイントとして誰がみても「介護の実務時間を基本ベースに、他職種との賃金バランスや事業所への貢献度を考え配分している」と説明ができる内容が必要です。

他にも管理者や役員は「対象外」とする場合もあります。後で詳しく解説します。

報酬の支給方法

支給方法で押さえておきたいポイントがあります。

  • 新加算区分Ⅳの報酬額のうち1/2は月額賃金で改善すること

2026年5月までは、訪問介護における新加算区分Ⅳの算定率は14.5%です。その半分の7.25%は必ず月額賃金で改善する必要があります。

2026年6月以降は、算定率が17.0%になるため、その半分に当たる8.5%分を、毎月の賃金改善として支給する必要があります。

先程の事例を元に、月額総介護報酬100万円の場合で考えてみましょう。

  • 2026年5月まで|処遇改善加算Ⅳ 100万円×7.25%=72,500円

つまり、月額介護報酬で100万円を売上ている訪問介護事業所は約7万3千円分を「必ず月額報酬で改善」することが要件となります。また、2026年6月の処遇改善加算の算定率見直しで以下のように変わります。

  • 2026年6月以降|処遇改善加算Ⅳ 100万円×8.5%=85,000円

分かりやすいように「処遇改善手当」などの名目で支給すると良いでしょう。

また、新加算区分Ⅰ・Ⅱを取得するには経験・技能のある職員1人以上を年収440万円以上にすることが求められます。

ただし、立ち上げ初期の場合や他の職員との小規模の事業所では年収440万円を支給することは困難なことも事実。

この場合、要件が緩和されることもあります。

ここまで、訪問介護事業所にとって処遇改善加算は約25%〜15%の報酬が得られ、上位の加算を取得するほど要件が厳しくなることを書きました。

次に上位の加算取得に必要な要件をみてみましょう。

処遇改善加算の算定要件は主に以下の3つです。

  • キャリアパス要件
  • 職場環境等要件
  • 月額賃金改善要件

上記の各要件に加え、職員への周知、労働関係の法律違反がないこと、労働保険料の未納がないことが前提条件となるため注意してください。

キャリアパス要件とは

介護職をはじめとした介護従事者が長期的なキャリアを描きやすくするために、昇進やスキルアップの道筋を明確にします。
職員が自分の将来に希望を持てるよう、体系的なキャリアパスを設定し、成長を支援することを目的としています。2026年度には処遇改善加算の対象が介護従事者に拡大され、より多くの職員の処遇改善につながる可能性があります。

この、キャリアパス要件はⅠ~Ⅴまで分かれており、処遇改善加算の区分に応じてクリアするべきものが異なります。

それではまず、キャリアパス要件の語句の意味から整理してみましょう。以下の表をご覧ください。

職位は2段階以上を定める必要があり、例えば副主任→主任→課長と設定すると3段階で設定したことになります。

共通項目として、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲは書面(就業規則など)に内容を記載し、中途入社を含む全職員に周知することも必要です。

上記の内容を次に紹介する「キャリアパス表」を定め、周知すると良いとされています。

職位職責及び職務内容任用要件賃金評価
上級ヘルパー・中級、初級ヘルパーを指導する。
・困難事例へ対応する
・介護福祉士有資格
・当法人でのサービス提供時間が900時間以上
・当法人が実施する上級ヘルパー試験に合格
・上級ヘルパー手当 5,000円/月
・時給50円アップ
中級ヘルパー・専門性をもってサービス提供ができる・当法人でのサービス提供時間が500時間以上・中級ヘルパー手当 3,000円/月
・時給30円アップ
初級ヘルパー・上級ヘルパーの指導のもとサービス提供ができる・介護職員初任者研修終了

上記の表は厚生労働省の引用ですが、職位、職責、任用要件、賃金評価の項目が記載されています。

この例では、職位を上級・中級・初級と分け、それに応じた職責や賃金評価設定を設定しています。

2026年度はキャリアパス要件Ⅰ~Ⅳなどに特例あり

2026年度の運用においては、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳおよび職場環境等要件について、令和8年度特例が設けられています。
具体的には、必要な整備を2026年度内に実施する予定である旨を処遇改善計画書に記載することで、一定の要件については特例的な取扱いが認められています。

画像:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」より引用

この特例により、新規開業事業所や体制整備の途中にある事業所でも、キャリアパス要件や職場環境等要件への対応を進めながら加算を取得しやすくなりました。
なお、年度終了後には実際の整備状況を実績報告書として提出する必要がありますので、計画的な対応が求められます。

キャリアパス要件については、次回別記事で詳しく解説予定をしています。

職場環境等要件は、介護職をはじめとした介護従事者が安心して働ける職場環境を整えるためにあります。
具体的には、処遇面以外で職員の労働条件を改善し、働きやすさを向上させることで、職員の定着率を高め、介護サービスの質を向上させることを目的としています。

職場環境等要件の中には、6個のテーマがあり、研修の実施などキャリアアップに向けた取組、ICTの活用など生産性向上の取組等の実施が必要です。

職場環境等要件の6個のテーマ

①入社促進に向けた取り組み

②資質の向上やキャリアアップに向けた支援

③両立支援・多様な働き方の推進

④腰痛を含む心身の健康管理

⑤生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組

⑥やりがい・働きがいの醸成

処遇改善加算取得には、それぞれ以下の条件をクリアする必要があります。

・処遇改善加算加算Ⅰ・Ⅱ(2026年6月以降の加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ):全ての区分でそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上、一部は必須)
・処遇改善加算加算Ⅲ・Ⅳ(2026年6月以降の加算Ⅲ・Ⅳ):全ての区分でそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)に取り組む。

加算Ⅰ・Ⅱ(2026年6月以降の加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ)の区分のうち、必須のなる項目のポイントは次のとおりです。

  • 生産性向上ガイドラインを活用すること
  • 業務改善活動の体制構築(委員会や外部の研修会の活用等)を行っている
  • 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査)を実施する

簡単に言い換えると、業務改善のためのチームを立ち上げ、生産性を向上するように現場のムリ・ムダ・ムラを無くしていくことが必要です。また、透明性を確保するため、選択した取り組み内容は介護サービス情報公表システムなどを活用して公表する必要があるので留意しておきましょう。

2026年度は職場環境等要件にも特例あり

2026年度においては、厚生労働省の方針により、職場環境等要件についても令和8年度特例が設けられています。
具体的には、介護事業所が「2026年度内に必要な整備を実施する予定である」と誓約した場合、その内容を処遇改善計画書に記載することで、特例的な取扱いが認められます。
また、令和7年度補正予算による介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善事業が実施されており、職場環境改善に関する支援策も講じられています。加算算定にあたっては最新の通知や様式を確認する必要があります。

画像:厚生労働省「令和7年度厚生労働省補正予算案の概要(老健局関係)」より引用

今回位置付けられた令和8年特例及び支援制度を活用することで、体制整備がまだ十分ではない事業所でも、加算取得の可能性を広げることができます。なお、誓約に基づく場合は、年度末に整備内容の実施状況を実績報告書にて提出する必要があります。

介護職をはじめとした介護従事者の賃金を向上させるために設けられた要件です。具体的には、介護職員の月額賃金を一定の水準以上に改善することを求めるものです。
2026年度は5月までと6月以降で加算区分が異なるものの、月額賃金改善要件は共通しています。

月額賃金改善要件について
  • 処遇改善加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる。

なお、2026年6月に処遇改善加算の算定率が引き上げられるため、要件となる金額も変更となります。
2026年5月までは加算Ⅳが14.5%、2026年6月以降は加算Ⅳが17.0%のため、求められる加算額の水準が異なることに注意しましょう。

現在、加算による賃金改善の多くを一時金で行っている場合は、一時金の一部を基本給・毎月の手当に付け替える対応が必要になる場合があります。(賃金総額は一定のままで可)

なお、月額賃金改善要件には、旧ベースアップ等加算相当額をもとにした要件が設けられていた時期もありましたが、現在は処遇改善加算が一本化されています。
そのため、現在は処遇改善加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てることが月額賃金改善要件として求められます。

訪問介護事業者で処遇改善加算を取得するには、対象者に関して注意が必要です。

特に、法人の役員などについては、実際の従事状況や取扱いを確認したうえで判断する必要があります。

2026年6月の制度改定により、対象者が拡大されていますが、具体的な取り扱いに関しては自治体毎に解釈が異なるため確認が必要です。

また介護現場で働く職員であれば「事務員」や「厨房職員」も一部支給の対象となります。

その背景には、介護職員と他職種との賃金バランスから処遇改善加算の申請に迷う事業者が存在することがあります。現在は、より柔軟な配分が可能となっていますが、介護職員への配分を基本とする点に関しては変わりません。

現場で働く介護職員の待遇を改善するための加算である点を踏まえ、配分を決定しましょう。

最後に助成金情報も処遇改善加算を取得するさいに利用したい助成金情報もまとめました。ご覧ください。

訪問介護事業所で「新規」に処遇改善加算を申請する場合、創業初期の場合も多いでしょう。

そこで以下の助成金は活用するメリットがあります。

  • 人材確保等支援助成金|人事評価改善等助成コース
  • 人材開発支援助成金|人材育成支援コース

いずれの助成金も職員の正社員化や人材育成、就業規則や評価制度の構築に活用できる助成金です。詳細は関連記事をご覧ください。

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介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善事業もあわせて確認を

さらに、令和7年度補正予算による「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善事業」にも注目です。この事業では、賃金改善に加えて、職場環境改善に関する取組への支援も行われています。

職場環境改善等経費には、処遇改善加算の職場環境等要件の更なる実施に関する取組も含まれているため、処遇改善加算の取得とあわせて活用を検討しやすい制度といえます。

訪問介護事業所にとって、処遇改善加算は非常に魅力的な制度です。取得するためは以下の3つの要件を満たすことが必要です。

  • キャリアパス要件
  • 職場環境等要件
  • 月額賃金改善要件

なお、2026年度は期中改定のため、5月までと6月以降で加算区分や要件の取扱いが一部異なります。
2026年度においては、厚生労働省の方針により、「キャリアパス要件Ⅰ~Ⅳ」および「職場環境等要件」について、令和8年度特例が設けられ、加算取得へのハードルが下がっています

また、令和7年度補正予算による「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善事業」などの補助金制度も活用することで、職員の待遇改善と事業運営の両面から支援を受けることが可能です。

一方、申請書類の書き方など制度の細かいルールがあるのも事実。
特に2026年度は期中改定により、5月までと6月以降で区分や算定率も異なります。区分を上げたくても、制度の理解や要件を守って運用し続けることが困難な事業者が多くいます。

ユースタイルラボラトリーでは、介護事業所の経営支援サービス【カイビズ】を展開しており、全国の訪問介護事業所の処遇改善加算の取得・運用の支援を行っております。
利用しているお客様からは

  • 必要書類の準備など丁寧に教えてくれた
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この記事の監修者

カイビズ編集部

重度訪問介護・グループホームなど自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報を正確かつわかりやすく解説しています。

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