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管理者?サ責?訪問介護の兼務問題と役割分担のポイント

訪問介護事業所では、ヘルパーに加え「管理者」や「サービス提供責任者(サ責)」の配置が必要です。
しかし現場では、限られた人員の中でこれらを兼務しながら運営している事業所も多く見られます。

「現場に出ているのでスタッフ管理の時間がない」「書類作成に手が回らない」
こういった悩みをもつ人もいるのではないでしょうか。

本記事では、管理者とサ責の役割の違いを整理し、業務が重なりやすい理由と対応のポイントを解説します。
忙しい中でも、無理なく質の高いサービスを提供していくためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

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管理者の基本的な役割と法的な位置づけ

訪問介護事業所の管理者は、厚生労働省が定める「指定居宅サービス等の事業の人員・設備・運営基準」に基づき、原則として常勤・専従で配置されることが求められています。

基本的な役割は、大きく3つ挙げられます。

  • 職員の配置や業務全体を一元的に管理
  • 事業所の適切な運営のための統括
  • 基準にもとづいたサービス提供のための指示や指揮命令

※参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

事業所運営における責任範囲(人・物・金の管理)

管理者は、事業所全体の運営を統括する立場です。
3つの視点で管理することが、客観的で健全な事業運営につながります。

サービス提供責任者の役割と配置基準

サービス提供責任者は、訪問介護サービスの質を担保する中核的な役割を担います。
厚生労働省の基準では、訪問介護員等のうちご利用者の数40人に対して1人以上配置することとなっており、介護福祉士、実務者研修修了者など一定の経験や知識が求められます。

※参考:厚生労働省「社会保障審議会/介護給付費分科会第177回(R2.6.1)

ケアマネジャー・ご利用者との調整役としての機能

サ責は、ご利用者それぞれのニーズや課題を把握しながら、ケアマネジャーが立案したケアプランにそってサービスを効果的に提供する責任者です。ですから、介護サービスの内容を調整したり関係機関やヘルパーと連携を図ったりするマネジメント能力も求められます。

また、サービス提供後の様子をケアマネジャーへ報告し、必要に応じてサービスの見直しをおこなうなど、ご利用者をとりまく人や資源の橋渡し役として重要な機能を果たしています。

業務内容は基準で定められている

厚生労働省の基準では、サ責の業務内容も定めています。個別の計画だけでなく、事業者との連携や研修、技術指導などその範囲は多岐に渡ります。

参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省を編集部で図式化

ここまで紹介してきたように、管理者とサ責はいずれも、事業所を適切に運営するための管理的な役割を担っています。そのため、事業や人の管理に関わるという点では、共通する部分も多くあります。
一方で、「どこまでが管理者の業務なのか?」「管理者と責任者はどう違うの?」といった点はあいまいになりやすく、現場によって解釈が異なるケースも少なくありません。

役割の違いで比較

基本的な役割として「経営管理」と「サービス管理」に区分されます。
管理者とサ責の役割を具体的な内容を通して整理したのが次の表です。

業務範囲で比較

業務範囲で比較すると役割が異なることが分かります。
つまり管理者は、事業全体を管理するためご利用者だけでなくヘルパーも視野に入れた管理業務をおこない、サ責はご利用者へのサービスの質に重点を置いた業務をおこないます。

兼務した場合に起こりやすい課題

管理者やサ責、ヘルパーは兼務が可能で、小規模事業所に限らず兼務運営は一般的です。
しかし、実際に厚生労働省の調査でも、常勤ヘルパーの不足などを背景に、サ責が現場対応や事務作業に追われ、本来担うべき計画作成やマネジメント業務に十分な時間を割けていない実態が指摘されています。

※参考:三菱総合研究所「訪問介護におけるサービス提供責任者のあり方に関する調査研究事業報告書(平成29年)

2024年の介護報酬改定では、「働き方」と「運営の考え方」が見直されました。特に、管理者の兼務に関する考え方が柔軟になり、人員不足を前提とした運営がより現実的に認められています。
とはいえ事業を維持していくためには、重度者への対応や加算要件の多様化により、運営の質も強く求められるようになりました。

その結果、管理者やサ責が現場に出ながら運営も担うスタイルが一般化し、より一層業務負担や役割のあいまいさといった課題が浮き彫りになっています。

現場対応とマネジメント業務の同時進行

ヘルパーは、ご利用者一人ひとりの自宅を訪問し、適切な介護サービスを提供します。一方、サ責は、計画作成や関係機関との調整といったマネジメントを担うという役割があります。
とはいえ現場では、介護業務の合間をぬって関係機関と連携したり、新規の受入調整をしたりと、マネジメント業務を同時に進める場面も多いのが実情です。

書類作成・加算対応・請求業務の集中

管理者やサ責には、ご利用者宅での介護業務に加え、シフト表など書類整備や会議、請求業務など多くの事務作業が集中します。特に月末から月はじめの10日にかけてこれらの業務が集中するため、業務負担が一時的に大きくなり、対応に追われやすくなります。

突発対応(ご利用者・職員トラブル)による業務圧迫

スタッフの欠員による現場対応や緊急トラブルが重なると、書類作成や請求業務に十分な時間を確保できず、業務が滞りがちになります。
訪問介護では、利用者の体調変化や急なサービス変更など、予定外の対応が日常的に発生します。そのたびに優先順位を見直す必要があり、本来予定していた業務は後回しになりやすく、結果として業務の負担が増してしまいます。

ここからは、管理者・サ責に関するよくある質問について紹介します。

Q1. なぜ「現場に出ながら運営も回す」状態になりやすいのか

そもそも介護報酬の体系は管理業務には報酬がつかず、訪問に入ってはじめて収益が発生する仕組みになっています。そのため、管理者やサ責も現場に出て対応せざるを得ず、運営と現場を兼務する体制になりやすいのが実情です。

Q2. パソコンなどのITが苦手なので効率化が進みません

令和7年12月の補正予算で処遇改善が進み、令和8年6月の臨時報酬改定では「業務効率化=IT活用」が当然の時代になってきます。今後は「苦手だからやらない」ではなく、取り組まないと生き残れないといっても過言ではありません。
たとえば、訪問介護にITを導入した場合

  • シフト作成の自動化
  • 計画書や実績の一元管理
  • 加算書類や会議録の作成効率化

などの負担軽減が期待できます。まさにサ責の業務そのものをターゲットにしています。

※参考:社会保障審議会介護給付費分科会「令和8年度介護報酬改定に関する審議報告(令和7年12月23日)

Q3. 現場業務とデスクワークの違いが理解されず、管理者業務が溜まってしまいます

役割があいまい、もしくは可視化できていないのが一つの原因といえます。特に管理者の仕事は見えにくいため、机に座っているからといって遊んでいるわけではありません。
まずは「この時間は管理業務」「この時間は訪問」などと共有ボードやシフト表で各スタッフの仕事を見えるようにして、全体で共有することが大切です。

新規のご利用者を受け入れたり、個別のニーズに柔軟に対応したりするほど、業務量は増えていきます。とはいえヘルパー業務は、利用者の声に寄り添い支えることにやりがいがある仕事です。

そのためには、頑張り屋さんやベテランさんばかりに業務が偏らないよう役割ごとに分担し、情報共有や引き継ぎが円滑に行える体制を整えることが重要です。そうした仕組みづくりが、管理者・サ責・ヘルパーそれぞれの役割を明確にし、本来の力を発揮することにつながります。

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この記事の監修者

カイビズ編集部

重度訪問介護など自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報をわかりやすく解説しています。

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