訪問介護事業所にとって特定事業所加算は収益向上を目指す上でとても魅力的な加算です。
この記事では、特定事業所加算の算定要件のうち、定期的な会議の開催に関する細かい条件や議事録の様式例や運営指導(旧:実地指導)時に注意すべきポイントもわかります。
14項目ある特定事業所加算の算定要件のうち、全ての特定事業所加算で求められる要件の一つが「定期的な会議の開催」です。そのため、これから特定事業所加算を算定する訪問介護は、定期的な会議に関する細かいルールについて正確に理解しておく必要があるでしょう。
その他、特定事業所加算の算定要件については、以下の資料にまとめています。特定事業所加算の算定要件について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
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目次
「特定事業所加算」の会議開催におけるポイント
以下、特定事業所加算の会議開催における主なポイントです。
- 開催目的:留意すべき利用者情報の伝達または介護技術の向上
- 開催頻度:1ヶ月に1回
- 参加者の要件:全職員(サービス提供責任者も含む)
- 不参加職員への対応:複数回、オンラインの開催で対応※
- 記録の要件:会議計画、議事録、参加者の一覧、会議資料
上記を踏まえ、会議実施の具体的な内容をみてみましょう。
※議事録の観覧のみは不可とされています。
訪問介護「特定事業所加算」の会議開催5ステップ
訪問介護「特定事業所加算」の会議を実施する場合、以下の5つのステップを参考に開催計画を立てるとよいです。
- 会議の開催内容を話し合う
- 会議開催の頻度、対象者を決めて年間計画を立てる
- 介護実務に落としみ、見える化する
- 会議資料(年間計画書、議事録、資料)の作成・保管
- 会議開催に関する要件の注意点
それぞれ詳しく説明します。
会議の開催内容を話し合う
会議の開催内容で押さえる要点は会議の目的が「留意すべき利用者情報の伝達または介護技術の向上」であり、開催内容も目的に沿ったものでなければなりません。
以下、事例です。
- 会議事例1:留意すべき利用者情報の伝達(困難事例に対する対応方法の伝達)
- 会議事例2:介護技術の向上(コミュニケーション技法を学ぶ)
会議事例を具体的にみてみます。
- 会議事例1:困難事例に対する対応方法の伝達
-
例えば、独居で不衛生な環境で生活するAさん。自治体からの紹介で訪問介護に入ることに。なぜ、不衛生な環境で生活することを選択しているのか。
会議では、上記困難事の現状に関して情報を共有します。なぜ、困難事例となっているのか課題と対応方法の仮説を立てて実施します。
参加者には、ベテラン職員もいれば経験の浅い職員もいます。経験値を共有して解決方法を一緒に考えることは事業所全体の質の向上に繋がります。
- 会議事例2:コミュニケーション技法を学ぶ
-
次の事例では、会議をコミュニケーション技法を学ぶ機会に割り当てたとします。
今回はコミュニケーションでは座る位置に関する対人緊張の概念※を学ぶと仮定しました。
※対面で座るより、斜めで座るほうが対人緊張が少ない場合があるなど。介護福祉士の国家試験にも出題された問題です。
先程の事例とは逆にこのような心理学的なテクニックは「新人」が学校や国家試験勉強で学んでおり、それらの情報を学ぶことがなかったベテラン側に伝えることが多いと思われます。
開催内容はミックスしても良いため、最初の15分で情報共有。その後、介護技術などでも可能です。事業所ごとの介護実務の課題を会議で話し合うことが大切です。
- ふさわしくない会議事例
-
一方、以下のような事例は不可です。
- 訪問利用者総数の推移
- 経営状況
- 勤務状況に関すること
要するに「運営に関すること」などは会議内容として不可です。なぜなら、特定事業所加算の趣旨は「困難事例に対応し、専門性の高い人材の育成と介護の実施」だからです。
運営も大切ですが、質の高い介護の提供と人材を育成することを念頭におきましょう。
会議開催の頻度、対象者を決めて年間計画を立てる
会議開催に関して、以下の要件を押さえておく必要があります。
- 開催頻度:月1回以上
- 参加対象:全職員
開催頻度は「月1回」以上のため、月2〜3回でもよいとされています。実務上はシフトの関係もあるため、月2回の開催で全職員が参加できるよう組むケースが多いです。
参加者は全職員の参加が必須となるため、リモート参加なども活用して全職員を参加させましょう。編集部の推奨は「4月」に会議計画を立てることです。
なぜなら、月1回以上の開催が求められること。また、開催時は多くの職員が出勤する日を選ぶため、事前のシフト調整が大切だからです。
会議内容を介護実務に落とし込み、見える化する
実は研修や会議で学んだ内容が「実施されること」が大切です。例えば、先程の会議事例2「介護技術の向上(コミュニケーション技法を学ぶ)」を考えてみましょう。
利用者さんと会話の中で「座る位置」を意識したか次月に介護の終わりに聞いてみましょう。
10人中5人が意識したなら「良い結果」といえます。
一方、意識した人が「0人」なら会議のテーマや会議内容の伝え方を工夫する必要があります。
このように、会議を実施するだけではなく「実施した内容」が介護実務に落とし込まれているか「見える化」することも大切です。
次に、会議資料の作成・保管要件についてみてみましょう。
会議資料(年間計画書、議事録、資料)の作成・保管
会議に関して、作成・保管する以下の書類は「5年間」保存が確実です。
- 会議内容の議事録
- 会議で使用した資料
- 参加者名簿
上記の中でも「議事録」の取り方に苦労するため、ポイントを解説します。
議事録作成の留意点
議事録作成の要点は「事実と意見」に分け、各項目を作成して発言者の発言内容を要約することです。
上記の中でも事実と意見を明確に分ける点がポイントです。例えば、以下の事例をご覧ください。
| Nsコールが鳴って部屋に行くと、Aさんが転倒しており、床に倒れていた。車椅子のブレーキはかけられておらず、動く。頭部は腫れて、意識がない。緊急搬送を実施した。普段からブレーキをかけないため、自動ブレーキ付きの車椅子が必要ではないか。 |
上記の事例は本当に「転倒」でしょうか?正確には「床に寝ている状態」を発見したのが事実です。転倒は「意見」です。実際には、車椅子に乗った後に転落した可能性もあります。
「事実」と「意見」を整理すると以下のようになります。
事実:床に倒れていたAさん。車椅子のブレーキは外れていた、頭部は腫れて意識がない
意見:転倒したのではないか、今回もブレーキをかけてないのではないか。
対策:普段からブレーキをかけないため、自動ブレーキ付きの車椅子が必要ではないか。
もちろん、状況からみて「ベッドから車椅子に移乗しようとして転倒した」が最も確率が高いことに異論は無いでしょう。しかし、車椅子のブレーキは関連がなくベッドから転落や眩暈がして転倒した可能性もあります。この場合、自動ブレーキをつけても対策にはなりません。
事実と意見。そして、仮説を分けて議事録を取るとよいでしょう。最近はAIに録音させて議事録をまとめる方法もあります。参考にしてください。
記録保管の留意点
介護ケアに関する書類は「完結した日から2年」が原則です。
ただし、「特定事業所加算」に関わる書類であることに加え、ローカルルールもあるため「5年」保管していれば、間違いはないでしょう。
会議開催に関する要件の注意点
会議開催に関する要件の中で、他に注意すべき点は「不参加職員」への対応です。
実際、全職員を会議に参加させることはシフト制の事業所だと困難な場合もあります。
そこで、リモート参加などを活用して会議に参加させましょう。
参加者名簿もリモート参加枠を作って、参加の記録を残しておくと安心です。
まとめ
訪問介護「特定事業所加算」の会議開催に関する要件のポイントは以下のとおりです。
- 開催目的:留意すべき利用者情報の伝達または介護技術の向上
- 開催頻度:1ヶ月に1回
- 参加者の要件:全職員(サービス提供責任者も含む)
- 不参加職員への対応:複数回、オンラインの開催で対応
- 記録の要件:会議計画書、議事録、参加者の記載、会議資料
まとめると「全職員に対し、介護技術または必要な利用者情報を共有・伝達する会議を月1回以上開催する」です。
関連する書類は「5年間」は保管しておき、不参加者への会議議事録の観覧のみでは要件を満たさない点は注意しましょう。
本記事が皆様の事業所運営にお役に立てれば幸いです。
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