採用活動や賃金改善に関わる費用の1/2が補助される「令和6年 被害者保護増進等 事業費補助金」をご存じでしょうか?
自動車事故で重度の後遺障害を持つ利用者を支援(支援予定も含む)する、訪問介護系の事業所を対象した補助金になります。以下がその要件の概要です。
- 対象事業者:居宅介護または重度訪問介護
- 補助比率:50%(条件を満たせば100%)
- 補助額:200万〜300万
- 対象経費:人材雇用や求人費用、研修費
- 公募期間:令和6年6月3日(月)~令和6年8月2日(金)
- 補助対象期間:令和6年4月1日(月) ~ 令和7年3月31日(月)
補助額が大きいので対象となる事業所は、ぜひ活用の検討をしてみてください。また、本補助金の公募による選定(採択)状況等により、補助率若しくは補助上限額の変更又は公募申請の打ち切りを行う場合がありますので予めご注意ください。
今回の記事は、当該補助金について国土交通省が掲載している資料を基に分かりやすく解説いたします。また、なぜ本補助金は創設されたのか?介護者なき後の問題と訪問介護に期待される役割についても調べてみました。
在宅療養環境整備事業(被害者保護増進等事業費補助金) とは
在宅療養環境整備事業(被害者保護増進等事業費補助金) とは、国土交通省が募集している訪問介護系事業者への補助金です。
補助対象は「居宅介護事業者または重度訪問介護事業者」かつ「補助年度中に自動車事故で重度の後遺障害を負った利用者がいる。または、確実な利用が見込まれる」事業者です。
重度の後遺障害とは、後遺障害等級表の2級相当以上とされています。実際には医師により個別に障害等級が判断されるため、事前に障害者等級の確認が必要です。
後遺障害等級表2級以上の表は次のとおりです。
| 等級 | 介護を要する後遺障害 |
|---|---|
| 第1級 | 1.両眼が失明したもの 2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの 3.両上肢をひじ関節以上で失つたもの 4.両上肢の用を全廃したもの 5.両下肢をひざ関節以上で失つたもの 6.両下肢の用を全廃したもの |
| 第2級 | 1.一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの 2.両眼の視力が0.02以下になつたもの 3.両上肢を手関節以上で失つたもの 4.両下肢を足関節以上で失つたもの |
その他にも、事業を効率的かつ確実に実施することができる介護事業所等であることや、過去3か年度以内に自動車事故被害者支援体制等整備事業において、補助金の返還を求められたことのない者等(団体を含む)であることなどの要件もあります。
利用できる経費
補助対象経費は、補助事業実施期間内に支出した経費のうち、本事業を行うために必要な経費であることを書面で明確に説明できる根拠を残しておかなければなりません。
そのうえで、利用できる経費は大きく3種類分かれます。
- 介護職員の人材雇用に係る経費もしくは賃金改善費
- 求人情報の発信等に係る経費
- 研修等経費の支援※重度後遺障害者の受け入れに関する介護の 知識・技術等
補助率は基本的に50%となってますが、自動車事故による重度後遺障害者の割合が50%を超える場合は補助率100%となります。補助対象経費の費目毎に適用されるのも抑えておくべきポイントです。
例)
利用者10人のうち
重度後遺障害者が5人の場合…50%
利用者10人のうち
重度後遺障害者が6人の場合…100%
以下の画像は国土交通省が明示している資料の抜粋です。

開設のタイミングが令和6年4月以降か、それより前かで限度額が変わってきます。
- 令和6年4月1日以降開設:1介護事業所につき限度額300万
- 令和6年3月31日以前開設:1介護事業所につき限度額200万
開業初期は多額の資金が必要なので、対象事業者が開業1年目か2年目で補助額が変わるのは納得できる仕組みです。
活用事例をあげると、求人広告で100万円を支払い、重度訪問介護を提供するため喀痰吸引の資格取得を目的に研修を3人が受講し、20万円の研修費が発生したと仮定しましょう。
上記の事例だと合計で60万円の補助が見込まれます。
- 求人情報の発信等に係る経費:50万円(事例の経費100万の1/2補助)
- 研修等経費の支援:10万円(事例の経費20万円の1/2補助)
介護事業所で働く人1名を採用するのためには、教育を含めると数十万の経費が必要となる場合もあります。
昨今では、インバウンドの需要が増加していることを受け、観光業での求人が上がってきております。特に観光地の採用激化は顕著でニセコなどでは人材がホテル業界に流れ、倒産した介護事業所があるほどです。
採用難にあえぐ介護事業所にとっては、採用活動費に充てられるこちらの費用は人材不足解消の手立てとなるかもしれません。
応募方法は国土交通省のホームページより申し込み可能です。以下の公募期限と補助期間もあるため、注意してください。
- 公募期間:令和6年6月3日(月)~令和6年8月2日(金)
- 補助対象期間:令和6年4月1日(月) ~ 令和7年3月31日(月)
最後に、補助金が創設された背景を編集部でも調査しました。弊社も関心が高い社会問題です。交通事故被害者の「介護者なき後の問題」を考えてみたいと思います。
介護者なき後の問題と訪問介護の役割
2021年8月29日「住み慣れた地域で暮らし続けるために障害者総合支援法 『 重度訪問介護サービス 』 の利用」と題して被害者団体の主催でオンラインセミナーを開催しました。
交通事故後に遷延性(せんえんせい)意識障害の状態になることは珍しくなく、重度訪問介護を利用するニーズがあるのは事実です。一方、家族が重度訪問介護を利用したくても「マンパワー」が足りず、訪問ニーズに応えられないことがあります。また、家族の高齢化は確実に進みます。いつか家族の介護力も低下します。
訪問介護の提供は限られる。また、家族の介護力は低下する。
そんな状況の中で医療・介護依存度が高い利用者が、地域で住み続けることは可能でしょうか。訪問介護の現場で働かれている皆様にとって「疑問だ」と応える方も多いのではないでしょうか。
これが、介護者なき後の問題です。
介護者なき後の問題に対応するためには、居宅介護の充実が鍵を握っているのは言うまでもありません。なぜなら、在宅療養環境整備事業(被害者保護増進等事業費補助金)は居宅介護と重度訪問介護を対象とした補助金だからです。編集部ではこれからも、訪問介護の充実に役立つ情報発信をしたいと考えております。
また、弊社が提供しているカイビズではこのような情報発信に加え、介護事業所の経営を様々な側面で支援するサービスを提供しております。
特定事業所加算や処遇改善加算の取得支援や、採用代行業務サービス、利用者獲得を支援するサービスなど様々あります。対価はいただいておりますが、それ以上の価値を提供し「本業の介護経営」に集中できるよう、全力でサポートいたします。ご相談は無料ですので、是非ともお気軽にお問い合わせください。
