令和6年度(2024年)は医療、介護、福祉のトリプル改定となりました。
特に介護保健分野では、訪問介護の基本報酬がマイナスとなり業界関係者からは疑問の声が多く聞かれており、介護事業所の経営環境は対応を迫られました。介護施設を経営する中でも「中核は人」であることは、事業所運営の共通認識でしょう。
今回は人材定着に向けた給与の改善に必須の「処遇改善加算」の要件「キャリアパス要件」に焦点を当てます。
キャリアパス要件の全体像から各要件の詳細を「分かりやすく」解説します。2025年度も継続されたキャリアパス要件の経過措置について詳細も掲載しております。要件を満たすための注意点や運用上のポイントを含め、「キャリアパス要件を満たす事業所の基準作り」に活かせる内容としました。
また、新加算の取得についてはこちらの資料で詳しく解説しております。ぜひダウンロードしてみてください。
訪問介護事業者向け 2024年度処遇改善加算取得マニュアル

介護保険サービス(訪問介護)において、処遇改善加算を取得する必要な要件や加算率などを、ポイントを整理してわかりやすくまとめています。
これから取得する事業所は要件を正しく理解するために、そして、すでに取得済みの事業所はセルフチェックなどにご活用ください。
目次
処遇改善加算の算定に必要なキャリアパス要件とは
- キャリアパス要件の概要
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処遇改善加算のキャリアパス要件とは「各処遇改善加算区分に応じて、昇給や昇進に向けた賃金体系・人事制度を整備し、研修を実施してください。」といった要件です。
つまり、介護職員が職位や能力に応じて段階的にステップアップしていくための仕組みを整備することを求める要件がキャリアパス要件と言えます。具体的には、職務内容や責任範囲の明確化、昇進・昇給の条件づけ、研修の実施などを通じて、介護職員の成長と定着を図る仕組みが求められています。
キャリアパスが明確化されることで職員が公平な基準に基づいて評価され、適切にステップアップできる環境が整い、モチベーションの向上や離職防止にもつながります。
各キャリアパス要件で決めたことは「就業規則などの書面」で整備し、全職員に周知が必要となっています。
具体的には各項目で解説するため、この項目では概要のみご理解ください。
- キャリアパス要件Ⅰ 仕事の責任の範囲、昇給・昇進の条件と賃金体系の整備
- キャリアパス要件Ⅱ 資質向上のための研究計画の策定と実施時の勤務配慮
- キャリアパス要件Ⅲ 経験、資格に応じた昇給と昇進条件の整備
- キャリアパス要件Ⅳ ベテラン職員1人以上は年額440万(月額8万も可)条件有
- キャリアパス要件V 介護福祉士(特定事業所加算など)の配置基準を満たすこと
次に使用される「用語」について整理します。
- キャリアパス要件で使用する用語の整理
-
処遇改善加算や各介護保健制度が分かりにくい理由の一つは「用語が難しい」です。例えば「任用」や「職位」などは聞き慣れない場合も多く、用語の整理が必要です。
当編集部では、名古屋市が運営する「介護・障害情報提供システム」の介護職員処遇改善加算にかかるキャリアパス要件の審査基準を参考に、各用語を以下のように定義しました。
用語 解説 職位 介護リーダー、主任などの役職のことです。2階級以上の職位を設ける。管理者や生活相談員などの指定基準上で必要な職位のみでは不可。 職責
職務内容職位に応じた責任の範囲や役割・職務内容の違いを定めることです。例えば介護主任は「トラブルやクレーム事例に対応する」などです。 任用 上級の職位(昇進)するための条件のことです。例として「介護福祉士かつ、上司が推薦して承認試験に合格する」などです。 賃金体系 職位に応じて、給与表を作成する。または上位職位に主任手当を付けるなどが考えられます。 書面整備 上記の各要件を就業規則、給与規定にて整備して介護職員に周知することが必要です。 キャリアパス要件を満たすうえで、留意することは次の2点です。
- 令和6年度中は申請段階において、各キャリアパス要件を満たすことを約束し、体制を整備した書面と実績を報告することで申請可能となること(令和7年度も誓約による猶予措置が延長されました)
- 従業員10名未満事業所など、就業規則の作成義務が無い事業所は内規の整備と周知で書類を整備した状態と認定可能であること
次項では、キャリアパス要件の詳細について説明していきます。
キャリアパス要件Ⅰ 任用要件および賃金体系の整備など
キャリアパス要件Ⅰを満たすためには、次の3つ全てを満たす必要があります。注意点もあるため、合わせて確認することが重要です。以下は、『老発0315第2号介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について』※からの引用です。
- 介護職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
- 1に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の 臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
- 1及び2の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
※資料確認はこちらから
キャリアパス要件Ⅰを運用する場合、以下の点に留意してください。その他のキャリアパス要件に関しても、同様です。
- 常時雇用する者の数が10人未満の事業所等など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所等においては、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記三の要件を満たすこととしても差し支えない。
- 令和6年度に限り、処遇改善計画書において令和7年3月 末までに上記一及び二の定めの整備を行うことを誓約すれば、令和6年度当初からキャリアパス要件Ⅰを満たすものとして取り扱っても差し支えない(この経過措置は令和7年度も継続が決定しました)。
- ただし、必ず令和7年3月末までに当該定めの整備を行い、実績報告書においてその旨を報告すること(この経過措置は令和7年度も継続が決定しました)。
誓約による容認の特例措置は2025年度(令和7年度)も継続されることが決まりました。処遇改善加算の算定にあたっては、年度末(令和8年3月末)までにキャリアパス要件の整備を行う旨を処遇改善計画書にて誓約すれば、当該年度は要件を満たしたものとみなされます。これにより、制度整備が間に合っていない事業所も、誓約により加算算定の猶予が与えられる措置となっています。
この特例措置はキャリアパス要件Ⅰ~Ⅲすべてにおいて共通して適用されます。

キャリアパス要件に関する猶予措置を活用し、無理のないスケジュールで任用要件・賃金体系の見直しを進めることが重要です。実際の整備完了後は、実績報告書にて適切に報告することが求められます。

▼キャリアパス要件Ⅰの参考例
| 職位 | 職責 (役割) | 求められる能力 | 対応役割 | 職務内容 | 任用の要件 | 給与 年収 | |
| 習熟に必要な義務教育 | 必要経験年数 | ||||||
| 経営職 | 経営幹部であり、経営的責任んを負う | ・経営統括責任者として自組織の目標を設定し、計画立てて遂行 ・部下の自主性を尊重して自律的な組織運営環境を整える ・人材育成、組織改革、法令遵守の徹底等を通じて地域の福祉向上に貢献 | 施設長 | ・施設の経営資源把握と調整戦略の策定 ・施設計画の進捗管理、管理職育成 | 施設長研修 法人経営研修 | 〇〇年以上 | 〇〇万円 |
| 管理職 | 部門の運営管理を行う | ・業務執行責任者として状況を適切に判断し、部門の業務を円滑に執行 ・サービスの質の維持、向上に努める ・教育研修プログラムの策定、実施 | 課長 | ・部門の管理育成 ・部下の育成 ・主任への指導 ・欠員時のサポート | 業務管理研修 部下指導育成研修 リスクマネジメント研修 | 〇〇年以上 | 〇〇万円 |
| 主任職 | チームやユニットの管理運営、部下の指導 | ・チームのリーダーとしてメンバーの指導、助言を実施 ・チームの目標を立て課題解決に取り組む ・当該分野の高度かつ適切な技術を身に着け、部下の能力向上を図る | 介護主任 | ・チームの管理調整 ・部下指導育成 ・リスクマネジメント、緊急対応 | リスクマネジメント研修 指導者養成研修 | 〇〇年以上 | 〇〇万円 |
| 一般職 (中堅) | 通常の業務に加えて難解な業務を実施 | ・組織の中で自分の役割を理解し、担当業務を遂行する ・業務の遂行に必要な専門的知識、技術の向上を図る | 介護職員 | ・利用者への支援 ・保護者、関係機関との連絡調整 ・利用契約手続き | 介護福祉士取得のための研修 業務改善研修 | 〇〇年以上 | 〇〇万円 |
| 一般職 (初級) | 介護の通常業務を行う | ・指導、教育を受けつつ、担当業務を的確に行う ・担当業務に必要な制度を理解する | 介護職員 (初級) | ・ケース記録の作成 ・入浴、排せつ、食事等の介助 | 初任者研修 介護職員基礎研修 訪問介護員2級研修 | 〇〇年以上 | 〇〇万円 |
こちらの表は、キャリアパス要件Ⅰを満たす参考例です。
職位は2段階以上を設定する必要があります。上記例では5段階の職位に設定されています。法人の実情に応じ、適切な職位を設定することが大切です。
ただし、管理者や生活相談員、サービス管理責任者など「指定基準上」で定められた役職をもって、職位を定めたことにはなりません。
独自の職位を設定し、給与規定・任用の要件(昇進の条件)を設けましょう。
キャリアパス要件Ⅱ 研修の実施など
キャリアパス要件Ⅱを満たすためには、次の2つ全てを満たすことが求められます。注意点もあるため、合わせて確認してください。※同じく『老発0315第2号介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について』からの引用
- 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、 資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
- a.資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等 (OJT、OFF-JT 等)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行う こと。
- b.資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇 の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
- 1について、全ての介護職員に周知していること。
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キャリアパス要件Ⅱを作成するポイントは次のとおりです。
- 職責、経験年数に応じた研修内容であること。
- 介護職員と意見交換を踏まえた資質向上の目標を作成する。
- 研修実施前と後の能力評価を実施する。
- 資格取得のために、シフト調整や費用助成を実施する。
- 全職員に周知する。
次項目の作成例も合わせて参考にしてください。
▼キャリアパス要件Ⅱの参考例
・資質向上のための計画例
| 研修のテーマ | 対象者 | 〇月 | 〇月 | 〇月 | 〇月 | 〇月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヒヤリハット事例への対応 | 全職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| 基本的な接遇マナー | 初任職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| 認知症の方への理解 | 中堅職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| 基本的な防災対策の理解 | 全職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| 感染症への理解 | 全職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| 介護保険でできること、できないこと | 全職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| 法令遵守の理解 | リーダー職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
| サービス計画の策定 | リーダー職員 | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
- 作成例
| 内容 | 計画 | 目標 | |
| 介護技術の向上 | 介護技術研修 | 全従業者を対象に必要な介護技術研修を年3回実施する(10月、12月、2月) | 研修会数年3回以上、基礎的介護技術の習得 |
| マネジメント研修 | 管理者及びサービス提供責任者を対象にマネジメント研修を実施(1月) | 1回開催。事業所の経営に当たり基礎的な人事労務管理を習得 | |
| ケース検討会 | ケース検討会を毎月実施 | 月1回開催、問題解決能力の向上 | |
| 資格取得の向上 | 介護福祉士 | 介護職員基礎研修受講済者を対象に、3年以内に介護福祉士取得を目指す。 | 3年後には、介護職員基礎研修受講者3名の介護福祉士の取得。平成23年度は1名合格 |
| 介護職員基礎研修 | 訪問介護員2級受講者を対象に、3年以内に介護職員基礎研修の取得を目指す。 | 2年後には、訪問介護員2級受講者2名の研修受講を目指す。平成23年度は1名受講 |
キャリアパス要件Ⅱは「資質向上のための研究計画の策定と実施時の勤務配慮」が必要なため、資格取得の費用助成やシフト勤務などを実施してください。
キャリアパス要件Ⅱについても、2025年度は特例により、年度末までの整備を誓約することで加算算定が認められる猶予措置が適用されます(要件Ⅰと同様)。
キャリアパス要件Ⅲ 昇給の仕組みの整備など
キャリアパス要件Ⅲを満たすためには、次の2つ全てを満たす必要があります。注意点もあるため、合わせて確認することが重要です。※同じく『老発0315第2号介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について』からの引用
- 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次のaからcまでのいずれかに該当する仕組みであること。
- a.経験に応じて昇給する仕組み 「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること。
- b.資格等に応じて昇給する仕組み 介護福祉士等の資格の取得や実務者研修等の修了状況に応じて昇給する仕組みであること。ただし、別法人等で介護福祉士資格を取得 した上で当該事業者や法人で就業する者についても昇給が図られる 仕組みであることを要する。
- c.一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み 「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みで あること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されている ことを要する。
- 1の内容について、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
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キャリアパス要件Ⅲは「経験、資格に応じた昇給と昇進条件の整備」が必要です。具体的には、キャリアパス要件Ⅰで提示した「キャリアパス要件Ⅰ」の任用要件の欄を参考にしてください。
例えば、介護福祉士には資格手当1万円などです。注意点として、昇進・昇給の条件は「客観的」である必要がありますが、具体的には「人物評価、勤続年数、勤務態度」などの評価項目を設け、客観的に示すことが重要です。
キャリアパス要件Ⅲについても、2025年度は特例により、年度末までの整備を誓約することで加算算定が認められる猶予措置が適用されます(要件Ⅰと同様)。
キャリアパス要件Ⅳ 改善後の年額賃金について
キャリアパス要件Ⅳは「ベテラン職員で1人以上は年額440万円(月額8万でも可)」とする内容です。
具体的には、以下の引用のとおりです。※
経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額(新加算等を算定し実施される賃金改善の見込額を含む。)が年額 440 万円以上であること。(新加算等による賃金改善以前の賃金が年額 440 万 円以上である者を除く。)
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ただし、以下の場合など、例外的に当該賃金改善が困難な場合や合理的な説明がある場合は上記の年額賃金改善要件は満たしたとされます。
- 小規模事業所等で加算額全体が少額である場合
- 職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合
令和6年度には年額440 万円以上の職員の代わりに、旧特定処遇改善加算に相当する部分による賃金改善額が月額平均8万円以上の職員配置をもって、要件を満たせるという要件緩和も設けられました。
上記の月額平均8万円の賃金改善をもって、要件を満たす場合は賃金改善実施期間における平均期間と設定されていました。
現在は特定処遇改善加算は処遇改善加算に一本化されておりますので、この緩和措置は適用されません。
さらに、経験・技能のある介護職員とは「介護福祉士かつ勤続10年以上」の職員を想定し、事業所の裁量に委ねられている点は留意が必要です。
例えば、処遇改善加算の報酬を、資格や経験も無い新人に「年額440万」を支給するのは説明や別の根拠が求められます。
キャリアパス要件Ⅴ 介護福祉士の配置など
キャリアパス要件Ⅴは「介護福祉士(特定事業所加算など)の配置基準を満たすこと」が必要です。具体的には、以下表のように特定事業所加算やサービス提供加算を取得していることが求められます。
▼表4 キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)を担保するものとして算定が必要な加算の種類及び加算区分
| サービス区分 | 加算区分 | |
| 訪問介護 | 特定事業所加算Ⅰ | 特定事業所加算Ⅱ |
| 夜間対応型訪問介護 | サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ |
| (介護予防)訪問入浴介護 | サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ |
| 通所介護 | サービス提供体制強化加算Ⅰ | サービス提供体制強化加算Ⅱ |
キャリアパス要件のQ&A
キャリアパス要件に関するQ&Aを「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)(令和6年6月20日)」及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)(令和7年3月17日)を元に作成しました。合わせて参考にしてください。
キャリアパス要件及び職場環境等要件を満たすために取り組む費用につい て、賃金改善額に含めてもよいか。
回答:賃金改善額に含めてはならない。
賃金改善の方法について、労使で事前に協議する必要はあるか。
回答:就業規則の不利益変更に当たるような場合(給与や手当が減るなど)にあっては、合理的な理由に基づき、適切に労使の合意を得る必要がある。
キャリアパス要件Ⅰで「就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備」とあるが、この「等」とはどのようなものが考えられるのか。
回答:法人全体の取扱要領や労働基準法上の就業規則作成義務のない事業場(常時雇用する者 が10人未満)における内規等を想定している。
キャリアパス要件Ⅱで「介護職員と意見を交換しながら」とあるが、どのような手法が考えられるか。
回答:様々な方法により、可能な限り多くの介護職員の意見を聴く機会(例えば、対面に加え、 労働組合がある場合には労働組合との意見交換のほか、メール等による意見募集を行う 等)を設けるように配慮することが望ましい。
キャリアパス要件Ⅱの「資質向上のための目標」とはどのようなものが考えられるのか。
回答:「資質向上のための目標」については、事業者において、運営状況や介護職員のキャリア志向等を踏まえ適切に設定されたい。
キャリアパス要件Ⅱの「介護職員の能力評価」とは、どのようなものが考えられるのか。
回答:個別面談等を通して、例えば、職員の自己評価に対し、先輩職員・サービス担当責任者・ ユニットリーダー・管理者等が評価を行う手法が考えられる。 ・ なお、こうした機会を適切に設けているのであれば、必ずしも全ての介護職員に対して 評価を行う必要はないが、介護職員が業務や能力に対する自己認識をし、その認識が事業 者全体の方向性の中でどのように認められているのかを確認しあうことは重要であり、 趣旨を踏まえ適切に運用していただきたい。
キャリアパス要件Ⅲの昇給の方式については、手当や賞与によるものでもよいか。
回答:キャリアパス要件Ⅲを満たすための昇給の方式は、基本給による賃金改善が望ましい が、基本給、手当、賞与等を問わない。
キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲについて、令和6年度中に要件整備を誓約した上で、令和6年度に処遇改善加算を取得している場合であって、令和6年度中に要件を整備できなかった場合は返還対象となるのか。いては、手当や賞与によるものでもよいか。
回答:
・ 原則として、キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲの要件整備を誓約した上で、令和6年度に処遇改善加算を取得した介護サービス事業所等については、令和6年度の実績報告書において要件の整備について報告しなければ返還対象となる。
・ ただし、当該介護サービス事業所等が、令和7年度の処遇改善計画書において再度要件整備の誓約を行い、令和7年4月以降も処遇改善加算を取得する場合は、令和6年度の処遇改善加算の算定額について返還を求めない取扱いとする。
・ なお、令和7年度の処遇改善計画書において再度要件の整備の誓約を行った介護サービス事業所等においては、令和7年度中に当該要件の整備を行い、令和7年度の実績報告書でその旨を報告することとするが、令和6年度の実績報告書については、「計画書で記載した内容から変更がない」ものとして届け出ることとする。
新処遇改善加算の算定に必要なその他の要件
新処遇改善加算はその他に次の2つの要件があるため、概要を確認しておきましょう。
- 月額賃金改善要件
- 職場環境要件
月額賃金改善要件はⅠとⅡに分かれます。要件はそれぞれ以下のとおりです。
- 月額賃金改善要件Ⅰ 新しい加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善
- 月額賃金改善要件Ⅱ 旧ベースアップ等支援加算額の2/3以上の新規の月額賃金改善
月額賃金改善要件は「処遇改善加算のⅣで入る報酬の半分は“介護職員”に毎月支給してください」といった内容の要件です。
最後の職場環境要件は8つの項目に分かれ、キャリアアップや入職促進に向けた取組、腰痛を含む心身の健康管理などがあります。
具体的な内容についてはこちらの記事で紹介しています。
まとめ
次のキャリアパス要件の概要を再度確認し、「処遇改善加算Ⅰ~Ⅴ」の届出を検討しましょう。
- キャリアパス要件Ⅰ 仕事の責任の範囲、昇給・昇進の条件と賃金体系の整備。
- キャリアパス要件Ⅱ 資質向上のための研究計画の策定と実施時の勤務配慮。
- キャリアパス要件Ⅲ 経験、資格に応じた昇給と昇進条件の整備。
- キャリアパス要件Ⅳ ベテラン職員1人以上は年額440万(月額8万も可)条件有。
- キャリアパス要件V 介護福祉士(特定事業所加算など)の配置基準を満たすこと。
複雑な仕組みで、加算取得のためには準備を負担に感じる方も多いかと思います。しかし、キャリアパス要件は職員自身がステップアップできる環境づくりのためのもので、職員のモチベーションの向上や成長、業務改善にもつながります。事業所にとっても、加算の取得に加え、職員の離職防止という効果も期待できます。
キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲについては、2025年度も猶予措置として期間を延長して設けられました。体制を整えるための準備期間と考え、まずは第一歩として、自事業所の就業規則や研修計画などの現状を確認してみてください。加算取得に必要な基準が整っているかを点検し、早めの対応を進めましょう。
ここまで、キャリアパス要件について解説しました。処遇改善加算の取得についてさらに詳しく知りたい方は以下から資料をダウンロードしてください。
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この記事の監修者
カイビズ編集部

重度訪問介護・グループホームなど自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報を正確かつわかりやすく解説しています。
