2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向けた議論が本格化し、訪問介護で注目すべきポイントも少しずつ見えてきました。
現時点では具体的な単位数や加算・減算は確定していませんが、これまでの介護給付費分科会などの議論から、「経営の安定」「地域やサービス提供形態による違いの評価」「ICT・AIを活用した生産性向上」が重要なテーマとして浮かび上がっています。
特に、2024年度改定で基本報酬が引き下げられた訪問介護については、物価・賃金上昇や人材不足を踏まえ、現在の報酬体系をどう見直すのかが焦点です。
この記事では、改定直前に慌てることなく、今から事業所としてどのような準備を進めるべきか、訪問介護の主な論点と具体的な対応策を整理して解説します。
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訪問介護サービス向け 2026年度処遇改善加算取得マニュアル

介護保険サービス(訪問介護)において、処遇改善加算を取得する必要な要件や加算率などを、2026年度の臨時改定を踏まえてわかりやすくまとめています。
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2027年(令和9年)介護報酬改定の概要
介護報酬は原則3年ごとに改定され、次回は2027年度に予定されています。
2026年9月30日に示された「令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)」では、物価・賃金上昇への対応、人口減少やサービス需要に応じた提供体制、地域包括ケアの深化、生産性向上、制度の持続可能性などが柱として示されました。

訪問介護に関係するものでは、経営安定や人材確保に加え、中山間地域の加算のあり方、居宅系サービスを含むAI等の介護テクノロジー活用も挙げられています。
今後は、こうした方向性をもとに具体的な報酬や基準について議論が進みます。
訪問介護で注目したい3つの論点
- 1.基本報酬と経営実態をどう評価するか
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訪問介護事業所にとって最大の関心事の一つが、基本報酬の行方です。
2024年度介護報酬改定では訪問介護の基本報酬が引き下げられたことが影響し、その後、訪問介護事業者の倒産・休廃業数は過去最多を更新し続けています。
2027年度改定に向けた基本的な視点では、物価・賃金の上昇を介護報酬へ適切に反映し、経営の安定と人材確保・定着につなげる方針が示されています。
また、全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会からは、訪問介護の基本報酬引き上げを求める要望も出されています。

※参照:厚労省 介護給付費分科会「全国ホームヘルパー協議会・日本ホームヘルパー協会 令和9年度介護報酬改定に向けた要望」 一方、注目したいのは単純に「基本報酬が上がるか」だけではありません。
訪問介護には、住宅型有料老人ホームなど特定の建物を中心にサービス提供する事業所もあれば、地域に点在する利用者宅を1軒ずつ訪問する事業所もあります。両者では移動時間や人員配置、コスト構造が異なります。
業界団体も、地域を面的に支える事業所と集合住宅等を中心にサービス提供する事業所では、移動時間・経費を含め事業構造が異なると指摘しています。
今後は、訪問介護というサービス種別だけでなく、どこで、どのような形でサービスを提供しているのかまで踏まえた評価が重要になる可能性があります。
- 2.移動時間や地域差をどう評価するか
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訪問介護では、サービス提供時間だけでなく、次の利用者宅までの移動にも人件費やガソリン代がかかります。
この問題についても、業界団体から具体的な要望が出ています。
2026年9月の関係団体資料では、中山間地域、人口減少地域、豪雪地域、離島などでは、人材不足に加えて移動時間や移動経費の負担が大きく、サービス提供の維持が難しくなっているとして、地域の実情を踏まえた報酬上の評価を求めています。
同団体のアンケートでは、利用者宅が点在することで訪問件数が限られること、人件費やガソリン代の負担が大きいことに加え、移動時間がサービス提供時間を上回るケースもあるとされています。
また、介護保険制度では2040年を見据え、地域によって人口減少や介護需要の状況が異なることを前提に、地域の実情に応じたサービス提供体制を構築する方向が示されています。2027年度改定の基本的な視点でも、中山間地域における加算のあり方の見直しが盛り込まれました。

※参照:厚生労働省 介護保険部会「特定地域(中山間・人口減少地域)の考え方について」より 今回の改定でどこまで反映されるかは未定ですが、全国一律ではなく、地域やサービス提供形態の違いを踏まえて評価する方向にシフトするとみられています。
- 3.訪問介護でも進むICT・AI・データ連携
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もう一つの大きなテーマが、訪問介護を含む居宅系サービスの生産性向上です。
厚生労働省は、居宅系サービスについて、介護記録ソフトやケアプランデータ連携システムの活用を進める方向を示しています。
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所とサービス事業所間で、計画・予定・実績などを電子的に共有する仕組みです。厚生労働省の資料では、紙でのやり取りと比較し、作業時間や経費を削減できるとする調査結果も示されています。
さらに、計画書やサービス担当者会議の議事録などの原案作成への生成AI活用も検討されています。厚生労働省は、AIの信頼性やセキュリティなどを検証しながら、在宅サービスの業務効率化につなげることが重要としています。

※参照:厚生労働省 介護給付費分科会「介護現場の生産性向上等の推進」より 2027年度改定に向けた資料でも、居宅系サービスでは業務改善効果が見込まれる介護記録ソフトやケアプランデータ連携システムの導入支援を進め、報酬上の評価について議論を深める方向が示されています。
ICT化は、単に事務作業を楽にする取り組みではなく、人材不足の中で限られた職員をケアに振り向けるための経営課題になりつつあります。
訪問介護事業所が今から準備しておきたいこと
具体的な単位数や加算要件はこれから決まります。そのため、今の段階では改定内容を予想するよりも、制度変更に柔軟に対応できる事業所運営の基盤を整えることが重要です。
まず確認したいのが加算の取得状況です。取得可能なのに算定できていない加算はないか、現在算定している加算の要件を継続して満たせているかを整理しておきましょう。
2027年度改定では、新たな加算だけでなく、既存の評価の重点化や報酬体系の整理・簡素化もポイントとなっています。
あわせてICT環境も確認しておきましょう。記録、予定・実績、請求などを別々に管理し、同じ情報を何度も入力している場合は改善の余地があります。
今後のケアプランデータ連携やAI活用も見据え、情報を一元的に管理しやすい環境を整えておくことが重要です。
2027年度介護報酬改定についてよくある質問
Q.訪問介護の基本報酬は上がりますか?
現時点では決まっていません。
ただし、物価・賃金上昇を介護報酬に適切に反映する方向が示されており、業界団体からも基本報酬引き上げの要望が出ています。今後の介護給付費分科会の議論を確認する必要があります。
Q.今から準備できることはありますか?
加算の取得状況、業務フロー、ICT環境を確認しておきましょう。
特に、加算要件の管理が属人的になっていないか、記録から実績管理、請求までに重複入力が発生していないかを確認しておけば、改定後の対応もスムーズに進みます。
2027年度改定に備え、加算と業務体制を見直そう
2027年度改定に向けた議論からは、訪問介護を基本報酬だけでなく、地域差や移動負担、サービス提供形態、生産性向上まで含めて評価していこうとする方向性が見えてきます。
今回の改定ですべてが実現するとは限りません。しかし、地域を面的に支える訪問介護と集合住宅等を中心としたサービス提供の違いや、地域特性まで踏まえた政策が進めば、将来的にはより実態に合った評価につながることも期待されます。
カイビズでは、訪問介護事業所の加算取得や運営体制の整備を支援する「加算コンサルティング」を提供しています。また、訪問介護に対応した介護ソフト「カイビズプラットフォーム」を活用することで、記録・実績管理・請求などの日常業務の効率化にもつながります。
改定内容が決まってから慌てるのではなく、現在の加算取得状況や業務体制を確認し、制度変更に柔軟に対応できる事業所づくりを進めておきましょう。
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