令和6年度の介護事業所倒産件数で、最も多かったのが「訪問介護」だったということはご存知でしょうか。
訪問介護といえば、在宅で生活する高齢者にとっては、もはや生活の一部であり、事業所がなくなるということは死活問題といってもいいでしょう。
とはいえ、訪問介護事業所にとって、基本サービスの提供だけでは赤字経営から抜け出せないのも事実です。
この記事では、訪問介護の健全な運営にとってなくてはならない特定事業所加算について、具体的な取得要件や効果を事例を交えて紹介していきます。
「特定事業所加算に興味はあるが、よくわからない…」 「取得したいが、ハードルが高そうで不安…」と感じている方は、ぜひ、自事業所の今後を考えるヒントとしてお役立てください。
なお、カイビズ編集部では特定事業所加算の取得ステップを解説した資料を無料で提供しています。
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加算を取得して赤字経営から脱出!- 特定事業所加算取得のためのステップ解説

本資料では、特定事業所加算の取得の要件やステップを分かりやすく解説。
各サービスごとの異なる要件や、加算取得でつまずきやすいポイントを明確にし、スムーズな申請を支援します。
特定事業所加算は、サービスの質を向上させながら収益を安定させるための強力な手段です。
特定事業所加算の取得を検討中・どんな加算か知りたいという方は是非ダウンロードください!
訪問介護事業所の経営実態
東京商工リサーチ調べによると、2024年度の介護事業所倒産件数は、179件と過去最多となりました。
高齢化が進む日本において、介護ニーズが増加する一方で、事業所がどんどん減って行くこの状況にはどのような「からくり」があるのでしょうか。
- 倒産件数は過去最多
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表:東京商工リサーチ「2024年度『介護事業者』倒産 最多の179件 前年度から3割増、報酬改定の『訪問介護』が半数」から引用 2016年以降、相次ぐ事業所の倒産が深刻化してきた介護業界。グラフを見てもわかる通りその連鎖は、多少の増減はあるものの、2024年には過去最多の179件という突出した数字を叩き出しました。
その中でも訪問介護事業者の数は86件と約半数を占めており、在宅生活を支える訪問介護サービスが減少していくことは、介護保険制度そのものの根幹を揺るがす事態といっても過言ではありません。事業所が倒産する原因としては、利用者獲得ができない、コロナによる事業所へのダメージが回復していない、といった経営上の課題のほか、物価高騰や人材不足といった社会的な課題が複合化し、倒産への拍車をかけたと思われます。
- 小規模事業所では厳しい利益構造と現状
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介護報酬の増加が見込めない中、従業員が10名未満の小規模事業所の倒産は全体の83%(143件)を占めています。
主な要因は以下のとおりです。
- 「売上不振(販売不振)」が最多の133件(前年度比27.8%増)
- 「赤字累積(既往のシワ寄せ)」が15件(同150.0%増)
- 「事業上の失敗(未熟な事業計画)」が15件(同400.0%増)
※参考:東京商工リサーチ「2024年度『介護事業者』倒産 最多の179件 前年度から3割増、報酬改定の『訪問介護』が半数」
そういった状況下にもかかわらず令和6年度の介護報酬改定では、訪問介護の基本単価は2%減少しました。
「令和5年度介護事業経営実態調査」によれば、月平均の訪問介護件数が400回以下だった場合、営業利益率は1.4%となり事業として成り立っていないことが分かります。訪問回数でみた事業収支状況と経営状態を表にしてみました。月間訪問回数 収支差率(営業利益率) 経営状態 600回以上 +5~7%程度 安定した黒字経営が見込める 500~599回 +3~5%程度 やや余裕あり 400~499回 +1~2%程度 ギリギリの経営状態。要注意 400回 ≒1%~0%以下(赤字) 固定費、人件費が払えず倒産 表:厚生労働省老健局老人保健課「令和5年度介護事業経営実態調査結果」を元に編集部でアレンジ・作成
安定した経営に欠かせない特定事業所加算
近年、介護業界を取り巻く環境は、人材不足や物価高騰、報酬の減額といった自事業所では手の打ちようがない厳しい状況となっています。特に小規模事業所にとっては、その影響は大きく、経営の安定を脅かす要因となっています。
そんな中、赤字経営から脱却する一つの方法として「特定事業所加算」の取得を検討する事業所が増えています。
実際、現在の介護保険制度は、単にサービスを提供するだけでなく、サービスの質を高めることが経営の安定につながる仕組みとなっています。つまり、質の向上に取り組み、一定の要件を満たすことで、加算を取得し、経営を底支えすることが可能なのです。
- 加算の仕組み
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特定事業所加算はⅠ~Ⅴまで5つの区分に分けられ、区分が上がるほど求められる基準が高くなります。
具体的には介護人材の確保や研修、重度利用者への対応力などが項目として設定されており、事業所の質を高める取り組みが評価され、加算として反映されます。「難しそう」「ハードルが高い」と感じる管理者さんもいるかもしれませんが、まずは自事業所が現在どの区分を目指せるのかを確認することが大切です。
基準を一つずつ満たし、現時点で取得できる区分から段階的にチャレンジしていくことをおすすめします。 - 加算の連動効果
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区分は5段階ごとに算定率が異なっています。算定率が高いほど細かい条件を満たす必要があります。下の表は、特定事業所加算の区分ごとの算定率を一覧表にしました。
区分Ⅰ 区分Ⅱ 区分Ⅲ 区分Ⅳ 区分Ⅴ 20% 10% 10% 3% 3% 月200万円の事業所で、区分Ⅱを取得できれば20万円が上乗せになります。
ここで知っておきたいポイントは、特定事業所加算の要件を満たすことで、処遇改善加算の算定要件の一部も同時にクリアできるということです。
つまり、サービスの質を高めるために必要な体制を整えることで、スタッフの処遇改善にもつながる、非常に効果的な制度といえます。まさに、事業所とスタッフ双方にとって“一石二鳥以上”の価値があるといえるでしょう。「サービスの質」「スタッフの働きやすさ」「経営の安定」、これらを同時に実現するためにも、特定事業所加算の取得は積極的に検討していくことをおすすめします。
それぞれの加算を項目ごとに比較してみます。共通している項目も多いことが分かります。
特定事業所加算 処遇改善加算 目的 サービスの質向上 スタッフの処遇改善 必要な取組や視点 ・サービス提供責任者の人数が十分いる
・経験のあるヘルパーが一定数いる
・研修や教育がきちんと行われている
・苦情対応やサービスの質を上げる体制が整っている・キャリアパス制度(スタッフがステップアップできる仕組み)
・働きやすい職場づくり
・教育や研修の実施
- 加算の取得要件とメリット
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加算の要件は、大きく3つの要素に分けられています。働きやすい環境を整えたり、経験のあるヘルパーさんを確保したりして、重度の利用者のニーズにも幅広く対応できる事業所を目指すような設計になっています。
特定事業所加算に必要な3要素 算定要件の一部 体制要件 ・研修や介護の定期開催
・緊急時対応の明記
・中山間地域への対応 など人材要件 ・介護福祉士の一定数確保
・一定年数の経験があるヘルパーの配置 など重度者等対応要件 ・看取り期の利用者への対応実績が1名以上
・要介護4以上。認知症、たん吸引等を必要とする利用者が全体の20%以上 など
事例:A事業所の成功ステップ
この章ではカイビズでご支援させていただいたA事業所のケースを例に、加算取得までの成功ステップをみながら課題整理や準備、その効果について、紹介していきます。
- 事業所の概要
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A事業所は、創業して5年、月商200万円で従業員が10名の訪問介護事業所です。
人材要件は満たしていましたが、体制要件や重度対応の要件が不十分で、なかなか加算取得に踏み出せていませんでした。 - STEP1 現状の課題整理と取得準備
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今の現状で「出来ていること」「不足していること」を分析した結果、次のような課題が見えました。
- できている:人材配置(資格・人数)
- 不足していること:研修計画、会議体制、指示伝達体制、緊急対応ルール
そして、経営課題として売上規模に対して人件費負担が重いということが分かりました。
- STEP2 制度への理解
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そもそも特定事業所加算は、管理者や一部のスタッフだけが努力して得ることはできません。事業所全体が一丸となって取り組むことが必要不可欠といっていいでしょう。
ですから、まずは事業所内で各要件について理解を深め、不足していることは何か、どうすれば達成できるのか、スタッフ全員の共通認識が大切になります。
たとえば次のような項目は、最初に共有しておいた方がいいでしょう。
- 体制要件の細かい理解
- 取得後の運用ルール
- 申請時に想定される指摘事項や注意点の把握
- STEP3 コンサル活用による効率化
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A事業所では忙しい業務と並行しながら、効率よく加算を取得するために外部のコンサルティングサービスとしてカイビズへ依頼しました。
外部のコンサルティングサービスが介入するメリットは、事業所の弱いところや不足している部分にピンポイントでサポートをしてくれるところにあります。
A事業所ではオンラインでの打合せにより、研修計画や緊急時の体制整備など必要書類をその場で作成し、なんと相談1ヵ月半後には申請を完了することができました。カイビズでは100以上の事業所運営で得たノウハウを活用し、申請から導入後のサポートをいたしますので日々の業務と並行しながら加算の取得を目指せます。
- 加算取得で得られた様々な効果
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A事業所は特定事業所加算Ⅱを取得することができました。これにより事業所の月収益は29万円増加しました。
また、処遇改善加算もⅡからⅠへと移行したことにより、月間で29万円、年間では348万円の収益増へとつながったのです。さらにこの効果は、金銭面だけでなくスタッフや事業所の運営にも好影響をもたらしました。
【スタッフへの効果】
- スタッフの給与アップにつながった
- 制度の理解が進み、サービスの質への意識が向上した
- 研修が充実しスキルアップが図れた
【経営面での効果】
- 経営の安定化が図れた
- 事業所の信頼性が向上した
- 求職者からの応募が増加した
カイビズによる加算コンサルティングサービス
カイビズでは、加算の取得から運用までを一気通貫でサポートするコンサルティングサービスを提供しています。
加算の取得後に報酬が発生する成果報酬型ですので、「自社ではどんなサポートが受けられるか」など、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。
〈ご支援内容〉
- 特定事業所加算・処遇改善加算の取得に向けての要件の確認・整理
- 会議開催の支援
- 書類作成サポート
- 指示伝達や報告体制の構築
- 月例研修動画の提供
- 取得後の運用サポート など
特定事業所加算・処遇改善加算の取得をサポート! カイビズアシスト –加算コンサルティングサービス

介護事業所の運営には、加算管理や報酬請求、採用活動など多くの事務作業が発生します。しかし、これらに時間を取られすぎると、肝心の介護サービスの質が低下しかねません。
「カイビズ アシスト」 は、介護事業所の処遇改善加算と特定事業所加算の取得・運用をサポートするサービスです。加算の取得までのフォローだけでなく効率的な運用方法など特定事業所加算・処遇改善加算に関する手続きをまるっとフォローいたします。
まとめ
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訪問介護事業所が「特定事業所加算」を取得するための具体的な道筋は、本記事で紹介したとおりです。加算を取得する過程で、何よりも大きな成果となるのは、事業所全体で制度の仕組みやルールへの理解が深まることです。
その結果、スタッフ一人ひとりが自分たちのサービスを改めて見直し、サービスの質向上だけでなく、職場そのものの環境改善にもつながっていきます。
特定事業所加算の取得は単なる「報酬アップ」のための制度ではありません。経営の安定と人材の質の向上、その両方を実現する重要な取り組みだと言えるのです。
ただ、日常業務を並行して加算取得に向けた準備を進めるのはなかなか難しいですよね。
介護について専門知識を持つコンサルであれば、加算の要件確認から事業所の現状の確認、申請から運用まで一貫してサポートしてくれます。
カイビズでも処遇改善加算と特定事業所加算の取得のためのサポートを実施しています。
事務作業が煩雑であきらめている方や事業所運営にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
カイビズ編集部

重度訪問介護など自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報をわかりやすく解説しています。
