介護報酬の請求業務は複雑で、「知らないうちに不正請求になっていないか不安…」と感じている事業所の方も多いのではないでしょうか?
特に、制度改正や算定ルールの変更が頻繁に行われる介護業界では、意図せず誤った請求をしてしまうケースも少なくありません。
実際、加算の算定要件の見落としや記録不足、人員配置の認識違いなど、悪意がなくても不正請求と判断されてしまうケースもあります。
しかし、よくある原因や注意点を事前に理解しておけば、慌てる必要はありません。
この記事では、介護報酬の「意図しない不正請求」が起きる原因や防止するための対策についてわかりやすく解説します。
今の請求で問題ないか不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、カイビズ編集部では介護報酬請求の業務の効率的な進め方を解説した資料を無料で配信しています。
収益を向上させ、事業所運営を安定させたいと考えている方にぜひ読んでいただきたい資料ですので、以下からダウンロードして内容をご確認ください。
報酬請求のトラブルを回避!効率的な請求業務の進め方とチェックリスト

初めて報酬請求業務に取り組む方や、一人で業務を担当している方でも安心して進められるよう、請求業務の負担を軽減し、スムーズに処理するためのポイントを解説。
具体的な対策やチェックリストを活用することで、請求ミスを防ぎ、業務の効率化を実現できます。
ぜひ本資料を活用して、安定した事業運営を実現してください。
不正請求とは?意図しないミスが起こる理由
- 不正請求の定義
-
不正請求とは、「法令や基準に違反し、かつそれを偽って報酬を請求すること」です。
過去にあった事例を紹介します。- 利用者に対して、サービスの提供が実態とは異なる単価の高いサービスを提供したとして、不正に介護報酬を受領した。 (訪問介護)
- 利用者に対して、職員があたかもサービス提供したとする虚偽記録を作成し、介護給付費を不正に請求し受領した。(訪問介護)
- 配置しなければならない機能訓練指導員の配置を行わなかった。(通所介護)
- サービス提供時間中に配置をしなければならない生活相談員及び介護職員が不足していた。 (通所介護)
※参考:青森県健康医療福祉部高齢福祉保険課「介護サービスの提供における不適正事例について(指定取消等処分事例) -P5.6」
厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険最新情報 – 『介護保険施設等に対する監査マニュアル』について(通知)」悪質なのは、基準を満たしていないことを知りながら請求し続けるケース。
不適切な請求が疑われる場合は監査が入り、不正請求であると認定された場合は指定取り消しなどの行政処分が行われる場合もあります。 - 意図せず不正請求となるパターン
-
正しく運営しようと思っている事業所でも気をつけたいのが、意図せず不正請求となるケースです。
介護保険は複雑で制度改定も多く、気づかないうちに不正請求となってしまうことがあります。例えば、多忙により実績の記録を月末にまとめてやろうとした場合、
- 人員基準を満たしていないのに加算をつけて請求した
- 利用実績がないのに請求した
などのうっかりミスが起こりやすくなります。
記録は実施したその日につけるようにし、できるだけダブルチェックをしておくと安心です。
- 不正請求が起こる原因
-
介護報酬の不正請求は、悪意のある架空請求だけではありません。
制度改正への対応の遅れや加算要件の理解不足、記録不備、人員基準の認識違いなどによっても発生します。
請求に関わる社員の制度理解を深め、ミスをできるだけ減らすことが重要です。
不正請求発覚時のリスクは?
不正請求は、意図せず発生した場合でも事業所に大きな影響を及ぼす場合があります。
どのようなリスクがあるのでしょうか。確認しておきましょう。
- 返還金の発生
-
不正請求が発覚した場合、過去に受け取った介護報酬の返還を求められることがあります。
特に、長く加算要件を満たしていなかった場合や必要な記録が不足していた場合は、その期間遡って返還対象となるケースもあり、多額の請求になる可能性があります。※参考:厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険最新情報 – 『介護保険施設等に対する監査マニュアル』について(通知)」P.8
- 行政処分のリスク
-

行政処分は段階的に行われます。
最初の行政指導では口頭での注意や助言指導のほか、改善報告書の提出を求められます。これに従わなかった場合、勧告、命令と指導内容が厳しくなり、改善が見られなければ指定取り消しが行われます。
※参考:厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険最新情報 – 『介護保険施設等に対する監査マニュアル』について(通知)」P.14
- 経営リスク(社会的信用を失う)
-

画像:東京都「廃止・取消事業所一覧」より引用 不正請求が発覚し、行政からの指示に従わなかった場合は指定取り消しとなり、事業所の運営ができなくなります。
また、指定取り消しとなった場合は事業所名や法人名、取消となった理由などが公表されます。不正請求を行った法人として申請者名や法人の代表者名がデータとして残ることは、経営を続ける上で大きなリスクになるでしょう。
※参考:東京都「廃止・取消事業所一覧」
-
今すぐ取り組むべき対策
-
意図しない不正請求を避けるためには、早めの対策が必要です。ポイントを押さえておきましょう。
- 記録の整合性を確認
-
介護報酬請求では、サービスを提供した事実を「記録で証明できること」が非常に重要です。
例えば、
- 提供時間と実績記録が一致しているか
- モニタリングや計画書が適切に作成されているか
- 加算算定に必要な配置記録が残っているか
などを定期的に確認しておきましょう。
実際にはサービス提供を行っていても、記録不足によって算定根拠を示せない場合、不正請求と判断される可能性があります。実施記録のつけ忘れには注意が必要です。
- チェック体制の構築
-
サービス業務と並行して請求業務を一人で行っていると、思い込みや確認漏れによるミスが発生しやすくなります。
そのため、
- 請求前に複数人で確認する
- 加算算定のチェックリストを作る
- 複数人が正しい知識を共有する
など、ミスを防ぐ仕組みを作ることが大切です。
特に加算算定は要件が細かく定期的に変更されるため、「昨年と同じで大丈夫だろう」という感覚で進めるのは危険です。
- 加算や制度は最新情報を確認
-
介護保険制度は改定が多く、算定要件や運営基準が変更されることも少なくありません。厚生労働省や行政からの通知、介護報酬改定情報など、定期的に確認しておきましょう。
また、理解できない内容については正しい情報を問い合わせる、Q&Aを確認するなど、正しい情報を更新していくことが大切です。
不正請求に関するよくある質問
Q1. 最低基準を上回る員数のサービス提供責任者を配置しようとする場合、非常勤の訪問介護員を置くことはできるか
可能です。ただし、この場合の非常勤のサービス提供責任者についても、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の訪問介護員等が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)の2分の1以上に達している者でなければならない。
Q2. 訪問介護の所要時間について知りたい
訪問介護の所要時間については、現に要した時間ではなく、訪問介護計画に位置付けられた内容の訪問介護を行うのに要する標準的な時間とされており、利用者の心身の状況を踏まえつつ設定する。
訪問介護の所要時間は実際に訪問介護サービスを行った時間に限るため、例えば、交通機関の都合その他訪問介護サービスの必要以外の事由によって利用者の居宅に滞在した場合には、その滞在の時間は訪問介護の所要時間に算入しない。なお、身体介護サービスまたは生活援助サービスを提供する際の事前準備等として居宅において行われるサービス準備・記録等(健康チェック、環境整備など)は訪問介護の所要時間に含まれる
Q3.訪問介護における特定事業所加算の算定要件については、毎月満たしていなければならないのか。また、要件に該当しないことが判明した場合の取扱いはどのようになるのか。
基本的には、加算取得の届出後についても、常に要件を満たしている必要がある。要件に該当しないことが判明すれば、その時点で廃止届出を出し、翌月分から算定しない取扱いとする。
※参考:厚生労働省「介護サービス関係 Q&A集」
まとめ
-
介護保険の不正請求についておさらいします。
- ちょっとしたミスや確認不足から不正請求を行ってしまうことがある
- 不正請求が発覚した場合は、行政指導、改善が見られなければ指定取り消しも
- 不正請求をなくすためには、体制を整える必要がある
意図的に不正をしようと思っていなくても、気づいたら不正請求になる可能性がある点がポイントです。
そして、その原因となる制度の認識不足や記入ミスは、人手不足が叫ばれる介護業界では他人事ではありません。
不正請求による経営リスクを軽減するためには、事務作業の効率化や正しく制度を理解した有識者によるチェック体制の構築が有効です。
カイビズでは、現場ですぐに使える介護ソフトの提供や加算のコンサルティングを実施しています。
今の体制に不安がある方は、ぜひお気軽にお問合せください。
シフト・記録・国保連請求がこれ一つで完了!–訪問サービス向け介護ソフト

介護事業所の運営には、ヘルパーのシフト管理や記録の入力、報酬請求、採用活動など多くの事務作業が発生します。しかし、これらに時間を取られすぎると、肝心の介護サービスの質が低下しかねません。
「カイビズ プラットフォーム」 は、訪問介護事業所の事務作業を一括管理できる介護ソフトです。
シフト・記録・請求を一つのソフトで対応し、特定事業所加算の運用にも活用できます。
この記事の監修者
カイビズ編集部

重度訪問介護・グループホームなど自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報を正確かつわかりやすく解説しています。
