2024年は介護・医療・福祉業界にとって、変化の大きい一年になります。診療報酬や介護・障害福祉の報酬は改定され、特に訪問介護事業所は基本報酬が減額となりました。
介護事業所の責任者にとって、処遇改善加算を取得し人材を獲得して収益を安定化することは、急務の状況かと思われます。
今回の記事では、処遇改善加算の「職場環境等要件」について、詳しく解説します。
可能な限り「分かりやすく」かつ「具体的で、注意点も明確」にしました。
2025年度に変更された猶予措置の概要や、申請することで職場環境等要件として認められる補助金、介護人材確保・職場環境改善等補助金の概要についても解説しています。
皆様の事業所運営にとって、一助となれば幸いです。
また、新加算の取得についてはこちらの資料で詳しく解説しております。ぜひダウンロードしてみてください。
訪問介護事業者向け 2024年度処遇改善加算取得マニュアル

介護保険サービス(訪問介護)において、処遇改善加算を取得する必要な要件や加算率などを、ポイントを整理してわかりやすくまとめています。
これから取得する事業所は要件を正しく理解するために、そして、すでに取得済みの事業所はセルフチェックなどにご活用ください。
目次
職場環境等要件とは?6つの取り組みを理解する
介護現場では深刻な人手不足が続いており、給与だけで人材を確保・定着させるのは難しくなっています。長時間労働や過剰な書類作成、職員の孤立化、健康被害、人間関係のストレスなど、職場環境の課題がモチベーションの低下や離職を招く要因になることが指摘されています。
こうした背景をふまえ、2024年度の処遇改善加算の制度改正では、職員が安心して働き続けられる環境づくりを制度上に位置付けた「職場環境等要件」が導入されました。
この要件は、加算の算定に必要な3つの条件の1つで、国が定めた6つの分野(入職促進・資質向上・両立支援・健康管理・業務改善・やりがい醸成)にわたる28項目から、所定の数の取り組みを選び実施するものです。
処遇改善加算は、「職員の給与を上げる」だけでなく、「職場の環境を改善する」制度という側面を持っています。その中でも職場環境等要件は、「入職促進の施策を実施し、離職の防止と資質向上の取組も同時に行うこと。また、継続的に働けるよう業務効率改善や健康管理も並行的に行う」ことが求められる要件です。

上記の画像は厚生労働省の社会保障審議会 介護給付費分科会(第233回)資料1より引用・改変より引用し、用語を整理して分かりやすい言葉に置き換えたものです。(実際の要件の文言とは異なるため、注意してください。)2024年度までの経過措置期間中と2025年度以降の条件を整理すると以下のようになります。
- 経過措置期間中(~2024年度まで)
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- 新加算Ⅲ・Ⅳ(処遇改善加算に相当):全体で1つ以上取り組んでいる
- 新加算Ⅰ・Ⅱ(特定処遇改善加算に相当):各区分ごとにそれぞれ1つ以上取り組んでいる
- 2025年度以降(ただし、緩和措置あり)
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- 新加算Ⅲ・Ⅳ:各区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組んでいる
- 新加算Ⅰ・Ⅱ(特定処遇改善加算に相当):各区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上うち⑰又は⑱は必須)取り組んでいる
令和6年度(2024年度)は経過措置があるため、処遇改善加算のⅢ・Ⅳであれば「全体で1つ以上」の取り組みが要件です。一方、令和7年度(2025年)からは処遇改善加算Ⅲ・Ⅳを取得する場合でも「各項目を1~2以上満たす必要」があります。
ただし、緩和措置がとられ、猶予期間として令和7年度も経過措置が認められるとともに、誓約することで実施を猶予されることが決まっています。
特に生産性向上が「鍵」となり、厚生労働省からも「生産性向上ガイドライン」※が公表されているため、特に意識する項目です。
その他、見える化要件として新処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを取得する場合はHPや情報公開システムなどで法人内外へ周知することが求められます。この項目では「職場環境等要件のイメージと公表する必要がある」ことを理解していただき、次の項目から詳細に解説します。
※資料確認はこちらから
職場環境等要件の28項目

職場環境等要件には、6つの区分があり、その中に28項目の具体的内容があります。
処遇改善加算の取得には、区分ごとに以下それぞれの要件を満たす必要があります。
28項目もあるのかと思った方も多いのではないでしょうか?取り組みの事例なども交えながら各項目をなるべく簡潔に説明していきます。
- 入職促進に向けた取組
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①法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
- (例)法人の理念やケア方針を「朝礼や研修時において伝える」取組を行う。
②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
- (例)他の事業所と共同で「実務者研修」の参加支援を実施し、事業所間の人材交流も同時に実施する。
③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)
- (例)未経験者、中高年層、主婦などの特性に応じた「キャリアパス」の構築
④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
- (例)地域の行事(盆踊りなど)に法人として参加し、知名度や職業理解を向上する。
- 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
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⑤働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
- (例)各資格取得の受講費用補助とシフト調整、勤務時間内の取得支援など
⑥研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
- (例)キャリア段位制度(内閣府推奨のキャリアや能力がどの段階にあるか明確にしたもの)と自法人の職位を人事考課制度と連動する制度を導入する。
⑦エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入
- (例)プリセプター制度(マンツーマンの指導者を専任)を導入する。
⑧上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
- (例)上長によるキャリアアップの面談を実施する。
- 両立支援・多様な働き方の促進
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⑨子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
- (例)保育室を設置し、看護休暇の促進を促すポスターなどを掲示する。
⑩職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
- (例)時短勤務制度を導入し、多様な働き方が選択できるよう支援する。
⑪有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に〇回取得、付与日数のうち△%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている。
⑫有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている
- (例)夏や冬などに連続5日以上の連続休暇を推奨し、実績を確認する。連続休暇時は業務に支障がないよう「業務の見える化と誰でも変わりができる」業務の棚卸を行う。
- 腰痛を含む心身の健康管理
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⑬業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
- (例)外部の社会保険労務士による相談窓口を設置し、事業所の休憩室などに掲示する。
⑭短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
- (例)非常勤職員に対しても健康診断およびストレスチェックを実施し、休憩室を設置する。
⑮介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
- (例)外部講師を招いて、腰痛軽減に向けた研修を実施する。
⑯事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
- (例)介護リフトの導入や腰部痛を予防するため、外部講師の研修を実施する。
- 生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組
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⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行っている
⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
⑲5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入
㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入
㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う
㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施。
※小規模事業者は、㉔の取組を実施していれば、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする※生産性向上体制推進加算を取得している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする 。
- (例)職員向け理念浸透ワークショップの開催(生産性向上ガイドラインより抜粋)
- (例)介護ソフトやICT化を行い、業務効率を改善する。
- (例)シルバーサービスを活用し、清掃関連は外部委託する(介護業務に集中)
- (例)入浴準備方法を再検討し、業務時間を短縮する。※過程を記録に残す。
基本的な「生産性向上ガイドライン」の流れは以下の通りです。
- 改善活動の準備
- 現場課題の見える化
- 実行計画
- 改善活動の取組
- 改善活動の振返り
- 実行計画の練り直し
基本的には「最新機器も活用しつつ、職員へのヒアリングを実施して課題点を抽出する。その後、改善案を話し合って、行動して振返りも実施してください」といった内容です。
上記の内容を生産性向上ガイドラインという「ツールとフレームワーク」を使って実施する流れです。より詳細については「厚生労働省 生産性向上ガイドライン」※に掲載されています。
※資料確認はこちらから
- やりがい・働きがいの醸成
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㉕ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
- (例)自己分析を促し、勤務内容やケア方法を改善する。
㉖地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
- (例)近隣保育園の児童を招き、保育園と介護施設の交流を図る。
㉗利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
- (例)介護保険法の目的、理念を学ぶ研修を年1回実施する。また、自法人のケア方針も合わせて考え方が浸透するよう、研修内容に盛り込む。
㉘ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
- (例)利用者やその家族からの感謝の手紙を掲示し、皆の前で表彰する。
ここまで「令和7年度以降」の職場環境等要件を解説しました。令和6年度は経過措置が設けられており、内容が少し異なります。
令和6年(2024年)・令和7年(2025年)年度中の経過措置
令和6年度に一本化した処遇改善加算。職場環境等要件は制度変更に伴う猶予措置として、要件を一部緩和しています。
以下に示しているのが、緩和された職場環境等要件の内容です。

上述したとおり、処遇改善加算Ⅲ・Ⅳは全体で1つ以上。処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを取得する場合は各区分で1つ以上の取組が必要です。
- 入社促進に向けた取り組み
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- 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
- 事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
- 他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
- 職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
- 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
-
- 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
- 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
- エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入
- 上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保
- 両立支援・多様な働き方の推進
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- 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
- 職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
- 有給休暇が取得しやすい環境の整備
- 業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
- 腰痛を含む心身の健康管理
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- 介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施
- 短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
- 雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施
- 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
- 生産性向上のための業務改善の取組
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- タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減
- 高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化
- 5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備
- 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減
業務改善が明記される生産性向上のための取り組みには2025年度から「業務改善」が明記されるようになりました。生産性向上の内容を拡大しつつより具体化したものとなっています。
- やりがい・働きがいの醸成
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- ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
- 地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
- 利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
- ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
このように、一部の要件が緩和されることで、取得しやすい加算となっていました。
この緩和措置は、令和7年(2025年)度も継続することが決定しました。猶予期間の延長により、十分に体制を整えることが可能になります。
また、誓約による猶予措置も継続されます。2025年度中については、2026年3月末までに新要件を整備することを誓約し、その内容を処遇改善計画書に記載することで、要件として認められます。この場合、2025年度中は新要件が未達成でも加算の算定が認められます。
ただし、2026年3月末までに実施報告書を提出する必要があります。あくまで期限付きの緩和措置であり、2025年度中には体制を固められるよう、十分な準備が必要です。
補助金申請を職場環境等要件として認める緩和措置
2024年度の補正予算で創設された「介護人材確保・職場環境改善等補助金」は、職場環境要件に取り組む事業所を支援する制度です。事業所はこの補助金を活用することで、経済的な支援を受けるとともに、より上位の処遇改善加算取得のための体制整備を進めることが可能になります。

この補助金の狙いは、単なる賃上げ支援にとどまらず、介護現場の働きやすさを高め、人材の定着や生産性の向上につなげることにあります。現在は緩和措置が継続中ですが、「6つの区分のうちいずれかで1つ以上の取組を行えばよい」という緩やかな要件から、今後は区分ごとに複数の取組を実施し、かつ公表することが求められる厳格な要件が適用されます。この新たな職場環境等要件の整備を目指す事業所が獲得できる補助金が介護人材確保・職場環境改善等事業です。
この補助金は、「2025年度の厳格な職場環境等要件の猶予制度」の役割も果たします。この補助金を活用している事業所に対しては、職場環境等要件を満たした事業所としてみなされます。加算の算定要件と補助金がリンクしているため、書類作成の負担も軽減され、スムーズな申請が可能となります。
- 金額と補助対象
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この補助金は、介護職員等処遇改善加算Ⅰ~Ⅳを算定している事業所が対象で、職員1人あたり最大で54,000円相当の補助を受けることができます。以下の表は、サービス種別ごとの補助率の一例です。
サービス種別 補助率の目安 訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護 10.5% 通所介護 等 6.4% 施設サービス 等 8.3% キャリアパス要件を満たすうえで、留意することは次の2点です。
- 令和6年度中は申請段階において、各キャリアパス要件を満たすことを約束し、体制を整備した書面と実績を報告することで申請可能となること(令和7年度も誓約による猶予措置が延長されました)
- 従業員10名未満事業所など、就業規則の作成義務が無い事業所は内規の整備と周知で書類を整備した状態と認定可能であること
訪問介護は10.5%と比較的高い補助率であることから、事業所にとってもメリットの大きな補助金となっています。
- 補助金の使い道
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この補助金は、以下の2つの大きな目的に使うことが認められています。
1つ目は、人件費の改善です。たとえば、基本給の引き上げや一時金の支給など、賃金の底上げに充てることができます。ただし、退職金の積立など将来分の支払いには使えません。
2つ目は、職場環境の整備です。業務改善委員会の立ち上げ、業務手順の見直し、職員研修の実施、業務分担の再構築など、現場の働き方を見直すための取り組みに活用可能です。ただし、介護ロボットやタブレットなどの設備購入費は対象外となっており、それらは別の補助制度(「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業」)でカバーする必要があります。
処遇改善加算やそれに関連する補助金と異なり、人件費以外の用途に使うことも可能な仕組みとなっています。事業所としては、状況に応じた柔軟な活用ができるメリットの大きな補助金となっています。
職場環境等要件のQ&A
職場環境等要件に関するQ&Aを「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)(令和6年6月20日)」を元に作成しました。合わせて参考にしてください。
職場環境等要件の24項目について、毎年、新規に取組を行う必要はあるのか。
回答: 新加算等を前年度から継続して算定する場合、職場環境等要件を満たすための取組については従前の取組を継続していればよく、当該年度において新規の取組を行う必要まではない。
各項目について、それぞれの項目を満たすために、項目内に列挙されている取組の全てを満たさなければならないのか。(2025年度以降は変更になります。)
回答:それぞれの項目を満たすためには、項目内に列挙されている取組のうち、一つ以上満たせばよい。例えば、「入職促進に向けた取組」区分の「事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築」という項目の場合、「事業者の共同による採用」 のみを実施することで、本取組を満たしたことになる。
「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」の区分において、「研修の受講 やキャリア段位制度と人事考課との連動」とあるが、「キャリア段位制度」とは何か。
回答:介護プロフェッショナルキャリア段位制度は、介護職員が保有している介護の実践スキ ルについて、どのレベルまで保有している(できる)のか、所属する事業所・施設で実践 スキルの「できる」・「できていない」評価を行い、その評価結果をもとに全国共通のレベ ルにて認定する制度である。詳細については、介護プロフェッショナルキャリア段位制度のWebサイトをご参照いただきたい。※
※Webサイトはこちらから
「両立支援・多様な働き方の推進」の区分において、「有給休暇が取得しやす い環境の整備」とあるが、具体的な取組事例はあるか。
回答:有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に〇回取得、付与日数のうち〇%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行う。情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行うなど。
「生産性向上のための業務改善の取組」の区分の取組について、参考にできるものはあるか。
回答:厚生労働省の「介護分野における生産性向上ポータルサイト」をご参照ください。
キャリアパス要件及び職場環境等要件を満たすために取り組む費用について、賃金改善額に含めてもよいか。
回答:新加算等の取扱いにおける「賃金改善」とは賃金の改善をいうものであることから、キ ャリアパス要件及び職場環境等要件を満たすために取り組む費用については、新加算等の算定に当たり、賃金改善額に含めてはならない。
まとめ
今回の記事は「令和6年~令和7年度に関する職場環境等要件」を詳しく解説しました。主なポイントは以下のとおりです。
- 取組項目は24項目から28項目に増えて、生産性向上が求められている。
- 具体的には「生産性向上ガイドライン」を参考に、業務改善が必要な状況。
- 職場環境等要件は「人材の定着」に関する複数の取組を求めている。
- 2025年度の経過措置として、前年同様に要件が緩和され、誓約による要件が認められる。
- 介護人材確保・職場環境改善等補助金の申請によって要件を満たしたとみなされる。
ここまで、職場環境等要件について解説しました。処遇改善加算の取得についてて解説しました。処遇改善加算の取得についてさらに詳しく知りたい方は以下から資料をダウンロードしてください。
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この記事の監修者
カイビズ編集部

重度訪問介護・グループホームなど自社で運営してきた実績をもとに、介護現場での課題に即した情報発信を行っています。
加算取得支援、報酬請求代行、採用代行など、介護・障害福祉分野の経営支援に特化したノウハウを有しており、制度改定や実務に関する最新情報を正確かつわかりやすく解説しています。
