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【解説記事】居宅介護・重度訪問介護における利用者獲得術

令和6年(2024年)のトリプル改定により、介護保険「訪問介護」の報酬が引き下げとなり、新しい加算取得や障害福祉サービスへ参入を検討される方も多いのではないでしょうか。

その中でも、「障害福祉サービス」における居宅介護・重度訪問介護の報酬は魅力的です。なぜなら、利用期間が長い傾向にあり、処遇改善加算の率も訪問介護より高いからです。

ただし、障害福祉サービスと介護保険領域では、制度面や営業方法が異なることもあり、参入時には事前に調べる必要があります。

本記事では、居宅介護・重度訪問介護における利用者獲得に必要な考え方や営業のコツ、組織体制構築のノウハウをお伝えします。

こちらのコラムの内容をさらに深堀!2024年6月25日に重度訪問介護・居宅介護の利用者獲得術を紹介するセミナーを開催しました。アーカイブでの配信を無料で行いますので、お気軽にお申し込みください!

営業対象は主に3つの対象者が存在します。具体的には以下の方々です。

 ①相談支援専門員
 ②ケアマネージャー
 ③利用者/ご家族

それぞれ詳しく解説していきます。

①相談支援専門員

営業対象となるのは第一に「相談支援専門員」です。”相談員”や”計画相談員”と呼ばれたりもしています。計画書(訪問介護でいうところのケアプラン)を作成する事業所のことを「相談支援事業所」と呼びます。

障害者総合支援法を根拠法として、利用者(障害者)の相談を受け、ヒアリング、アセスメント、プラン作成、モニタリングまで実施します。

つまり、障害者支援領域の「ケアマネージャー」です。

相談支援事業所を探すには「WAMNET」を利用すると便利なため、ぜひ利用ください。対象地域を選択し、サービスを「相談系サービス」の各項目にチェックを入れると、相談支援系サービスの一覧が確認できます。

ただし、注意点として以下のことを理解した上で営業活動を行うことが重要です。

  • 障害者支援には「身体、精神、知的、児童、難病」5つの専門領域がある
  • それぞれの障害の特性について理解が必要
  • 自社の「対応できる介護サービス」でなければ利用者ニーズに対応できない

介護保険領域では、介護が必要になる根本的な理由は「加齢」が原因です。

よって、脳卒中や転倒後の骨折、認知症の方が相対的に多くなるため必要な介助というのは予測しやすいです。

一方、障害者支援領域では障害になる理由も交通事故、難病、先天性の障害など様々です。

重度障害を抱えた方への支援も多く、例えベテランの介護者でも「経験」がないと満足のいくサービスを提供することは困難な場合もあります。

特に知的障害や精神障害などは「行動特性」を理解し、落ち着ける方法や環境を理解しておかなければなりません。

例えば、高度強迫性障害では「不安」や「こだわり」があり「火が消えたか何時間も確認する」などの行動特性が見受けられます。

対応方法は十人十色で、例えば「何回確認するか自分でルールを定めてもらう」ことで落ち着く場合もあります。

これらの疾患特性に対応するには、経験値と最新の知識をインプットしておくことが大事です。また、自社の介護サービスで対応できそうか、事前に把握しておく必要もあります。

加えて、営業活動する際の注意点として、各相談支援事業所には「得意な支援領域」があります。(地域による)
訪問前に、電話などで事前に確認しておくのも一つの手段です。

②ケアマネージャー

ケアマネージャーはご存知の方も多い、介護支援専門員の通称です。

実は、地域によっては障害支援領域でも16疾病に該当する利用者※の「計画相談」を実施している場合もあります。

代表的な疾患は脳卒中ですが、脊髄小脳変性症やALSなどの難病も対象です。

営業活動のコツは「障害の訪問介護」ですと前提をして話しをすること。

なぜなら、営業活動時にケアマネージャーは障害福祉の訪問介護なのか介護保険の訪問介護なのか、判別がつかないからです。

数はそれほど多くはありませんが、100件ほど居宅介護支援事業所を営業すると、1件は「実は、困ってまして」と具体的な話しになることが多いです。

自社の提供できる「介護サービス」にマッチできれば提供していきましょう。

③利用者/ご家族

実は計画相談員は足りていないのが現状です。そこで、各市町村の福祉担当者の助言を受けながら利用者本人が「計画書」を作成する場合があります。

この場合、市町村の職員や利用者本人に「認知」していただき、選択肢に入ってもらうことが必要です。

ホームページを制作するなどし、近隣で支援を必要とされている方から、見つけてもらう体制づくりを行っておきましょう。

結論から述べると「利用者のニーズ」は確実に存在し、居宅介護・重度訪問介護ともに担い手が不足しているのが現状です。事実、厚生労働省が2019年に調査した「居宅介護の支援の実態調査」では、利用者ニーズが減少して経営が厳しいと回答した方は15%前後(n=714)です。

一方、営業活動の現場ではせっかく支援のご依頼をいただいても「ミスマッチ」からお断りをする場合もあります。

例えば、”夜間だけ”、”距離が遠い”などの場合です。しかし、ここでも諦めず逆提案が可能なら実施してみましょう。

例えば、夜間の身体介護30分だけのニーズだったとしても、進行性の疾患の場合や家族の負担が大きい場合など、支援内容を拡充したほうが良いケースもあります。その場合、将来的には夜間8時間の支援になる可能性もあり、事業所の経営にとっても有益なケースとなる場合があり〼。

支援内容を拡充すると、自社の支援ニーズとも合致する場合も多くあるため、検討してみてください。それは、自社のみならず利用者とそのご家族にとってもよりよい効果を生み出すかもしれません。

営業活動を実施する上で注意すべき点は次の2点です。

  • 障害者差別解消法を知る
  • 依頼があった際は内容を詳細に確認しておく

それぞれ解説します。

障害者差別解消法を知る

営業活動を実施するには「障害者差別解消法」を知っておくことが重要です。

なぜなら、知らず知らずのうちに「同法に違反する」可能性があるからです。

例えば、同法ではサービス提供が可能な状況にも関わらず「利益率が低い」などの理由からサービスを拒否することは違反です。

また、倫理的にも問題があります。

ではどのような場合なら良いのか。それはマンパワーや自社では対応出来ない医療的ケアなどの場合です。

上記の点も踏まえ、行動援護や同行援護などの指定も検討してみてください。

依頼があった際は内容を詳細に確認しておく

営業活動を実施すると「支援困難事例」も経験します。障害者支援領域および介護保険領域にも共通して「ハランスメント」が問題になることもあります。

特に、介護保険と違って障害者支援は特性上、利用者の多くは「若年~中高年者」です。

支援困難事例の中には前に居宅介護を利用し、ハラスメントが理由で契約終了となってしまった事例もあります。

一般に若年~中高年者は性的な欲求が高齢者と比較して高いことも理由の一つと言えます。

ただし、上記は「疾患・年齢特性上、性的な欲求が多い可能性が高い」特性を述べたまでで、それ以上の他意はないことはご留意ください。

高齢者、若年~中高年者の利用者共に「ハラスメント」対策を実施して職員を守る必要性は共通課題です。前事業所が契約終了となっていた場合、事前に詳細を確認して最適なサービスが提供できるように、体制を構築してください。

まず知っておくポイントとして、障害者福祉サービスの利用者は、「若年~中高年者」が多いです。そのため、サービス提供は高齢になるまでの長期間になりやすい傾向にあります。

つまり、一度支援に入れば長期間にわたってサービス提供ができるため安定的な収益にもつながります。

しかし、利用者の各疾患や障害の特性は十人十色です。どのようなベテランでも「利用者毎への慣れ」「障害・難病に関わる知識」が大切になります。

障害福祉サービスの営業活動は、基本的に訪問介護の営業とやることは変わりません。しかし、独特の課題と機会を持つ分野です。特に計画相談事業所や基幹相談支援事業所の相談員にとっては、忙しさと課題が日常です。営業戦略を成功させるために、以下のポイントに留意することが重要です。

アポイントメントの重要性

相談支援専門員はケアマネージャーよりも多くの案件を抱えている傾向にあります。そのため、まずはアポを取ることが成功の鍵です。アポなしの訪問はほとんど時間を取ってもらえないことが多いため、事前に確実な時間を確保しましょう。

資料の準備

後日の依頼も多いため、チラシやパンフレットなどの資料を持参し、見返せるものを用意しておくと良いでしょう。

名刺の交換

顔と名前を記憶してもらうために、名刺の交換は必須です。相手に自身のプロフェッショナリズムをアピールする良い機会です。

自社のPR

障害者ケアの場合、専門的な知識や経験を示すことが重要です。逆に相談支援事業所側も得意とする障害の領域が分かれている場合もあるので、そこがマッチするかは把握しておく必要があります。

また、急な時間の確認が求められる場合もあります。シフトを把握し、柔軟に対応できる準備をしておくと好印象です。

相談支援事業所の数は、ケアマネージャーの事業所に比べて少ないため、1件ずつ信頼を築いていくことが成功の鍵です。ただ訪問するだけではなく、相手のニーズに対応していくことを心がけていきましょう。

「居宅介護・重度訪問介護」と「訪問介護」の最も違う点は根拠となる法律です。

前者は障害者総合支援法、後者は介護保険法です。所管はいずれも厚生労働省ですが、申請先の窓口は異なるため、注意が必要です。

居宅介護重度訪問介護訪問介護
所管する法律障害者総合支援法障害者総合支援法介護保険法
時間短時間の支援
(30分~3時間未満)
長時間の支援
(3時間以上)
短時間の支援
(20分~)
対象者軽度の障害
障害支援区分1以上
重度の障害
障害支援区分4以上
要支援/要介護認定者
単位数
(1時間)
404単位378単位
処遇改善加算
(Ⅰ)の加算率
47.1%34.3%24.5%
支援内容身体介護
家事援助
移動支援
総合支援身体介護
家事援助
移動支援
表|居宅介護・重度訪問介護と訪問介護の比較表 編集部作成

上記の表から把握できることは、障害福祉サービスの報酬体系に魅力があることです。

例えば、処遇改善加算の上限を比較しても約2倍近い額となっており、事業者にとっては非常に魅力的です。

他にも以下の特徴があります。

  • 重度訪問介護の資格(統合課程)は約20時間、最短3日で取得が可能
  • 重度訪問介護は提供時間が長い分、移動時間が少ない=シフトが組みやすい

また、障害者総合支援法では、若年~中高年者を支援対象とする特性上「就労支援」などの社会復帰などが含まれるのも、特徴の一つでしょう。

最後に居宅介護・重度訪問介護を提供する「組織作り」をご紹介します。

介護保険領域や初めて居宅介護・重度訪問介護を提供する時に大切なのは、「組織体制構築」です。なぜか。

それは、訪問介護は「人」で成り立つビジネスモデルだからです。

特に現場のシフトを組むことが多いサービス提供責任者の存在が非常に重要となります。

組織体制構築の運営ポイント

居宅介護・重度訪問介護を提供する上で、管理者・サービス提供責任者が押さえておきたい運営上のポイントは以下のとおりです。

  • 居宅介護は提供時間が短いため、シフト調整の効率化が必要
  • 重度訪問介護は長時間で支援に入るため、欠員が発生した際はやりくりが大変
  • 訪問介護を運営していれば、居宅介護は導入しやすい
  • 一方、重度訪問介護を運営していくには2チームで運営することが望ましい

居宅介護は提供時間が短いため、シフト調整が難しくなります。

急な体調不良でサービス提供ができない。スタッフが急に休んでしまうなどはよく経験されているのではないでしょうか。

よって、サービス提供責任者は臨機応変に対応する必要があるため、「レギュラーの利用者」は担当しないことが組織運営上では重要です。

また、教育面でも重度訪問介護に対応できるヘルパーを増やせるように、週5日のサービス提供があるなら、最低2~3人で対応できるチーム体制を構築しておくと安心です。

重度訪問介護は1人ひとりのケアにも工夫が必要。同行訪問を重ねましょう。

チームで対応できる体制が構築できると、利用者もお気に入りのヘルパーに依存しない。逆もしかりで「組織」として対応できる「体制」が整います。

可能であれば、障害福祉サービスと介護保険サービスの両方のチームが作れると、安定したシフト調整が可能になります。

望ましいサービス提供責任者の特性

サービス提供責任者が「組織体制の構築」を担う上で、大切なことはお伝えしたとおりです。

改めて居宅介護・重度訪問介護を提供する上で、望ましいサービス提供責任者の特性を考えてみましょう。

  • コミュニケーション能力:利用者とヘルパー双方の意向をくみ取る。
  • 基本的な身体介護の技術:イレギュラー時に対応できる基礎的な介護力
  • シフト管理能力:短時間ヘルパーに安定してシフト調整すると、選ばれる事業所に

上記の能力を持ち合わせているのは、「基本的な身体介護サービスが可能な、元サービス業の店長」がイメージとしてピッタリです。

なぜなら、利用者のニーズとヘルパーのシフトやサービスに対する要望を理解し、調整する「マネジメント」のスキルが求められるため、店長経験が活かせるからです。

介護技術は現場経験を積み重ねれば得られるものですが、コミュニケーション能力やシフト管理能力はまた違った側面のスキルが求められます。

障害福祉サービス領域は「社会参加」もその特性上、非常に重要です。よって、利用者ニーズも複雑なため、コミュニケーション能力を見極めて採用を検討しましょう。

前半は「営業活動について」、後半は「組織運営」について書きました。まとめます。

障害福祉サービスは「利用期間が長い傾向にあり、処遇改善加算が約2倍」と魅力的な事業でした。ポイントを整理すると以下の項目があげられます。

  • 利用者が若年~中高年者のため、サービス提供も長く、事業が安定しやすい
  • 居宅介護などは処遇改善加算、基本的な単位数共に優位性がある
  • 営業対象は計画相談員、ケアマネージャー、利用者本人とそのご家族
  • 注意点として、障害者差別解消法に留意する
  • 組織運営はサ責が「鍵」シフト調整、コミュニケーション能力が重要

今回は、当社が全国で運営しているユースタイルケア(旧:土屋訪問介護事業所)で行っている営業の基本的な考え方についてお伝えしました。
なお、この記事で紹介しきれなかった訪問介護事業所における営業のテクニックをまとめ、ガイドブックとして無料で公開・配布しております。
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