燃料費、光熱費、食材費。
どれも私たちの生活に欠かせないものですが、近年の急激な値上がりは介護現場の経営をも直撃しています。
こうした状況を受け、全国の自治体では介護事業所向けに「物価高騰補助金」を制度化する動きが広がっています。
介護サービスを安定して継続できるよう、光熱費や燃料費、食材費などの高騰分を補う制度です。
支給単価や対象範囲は自治体によって異なり、地域の実情に合わせて設定されています。
この記事では、全国の流れを踏まえつつ、横浜市で実施されている「高齢者施設等物価高騰対策支援金」を例に、対象事業所・支給金額・申請方法などを整理しました。
皆様の地域でも同様の制度が実施されている場合がありますので、これを参考に自治体の最新情報を確認してください。
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目次
物価高騰補助金制度が生まれた背景と目的
燃料費や光熱費、食材費などの高騰は、介護サービス事業所の経営を直撃しています。
背景には、ウクライナ情勢をはじめとする国際的なエネルギー価格の上昇、円安による輸入コストの増大、そして人件費や物流費の上昇といった複数の要因があります。
特に電気・ガス・ガソリンといった基礎的なエネルギーコストは、事業の規模に関係なく負担を押し上げています。
訪問介護のように利用者宅への移動が必要なサービスでは、ガソリン代の影響が特に大きく、「報酬は据え置きのまま、支出だけが増えていく」という声が聞かれます。
加えて、2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも重なり、多くの事業所が経営面の課題を抱えています。
こうした厳しい経営環境を受け、国と自治体では物価高騰補助金などの支援制度を設けています。
目的は、物価やエネルギー価格の急上昇によって介護サービスの継続が困難になることを防ぐため。
光熱費や燃料費、食材費などの負担を一部補助し、事業運営の安定と利用者負担の抑制を両立させる狙いがあります。

制度内容は地域によって異なります。
たとえば東京都では燃料費に特化した支援金を都が交付し、市区町村が独自に上乗せする二段構成を採用。
一方で横浜市や大阪府のように、光熱費や食材費などを含めた総合的な支援金として交付する自治体もあります。
このように物価高騰補助金は、地域の実情に応じて形を変えながら全国的に広がっています。
そこで、介護保険の最大の保険者であり、事業所数も多い横浜市の「高齢者施設等物価高騰対策支援金」をひとつの事例として、その具体的な内容を解説します。
「高齢者施設等物価高騰対策支援金」とは(事例:横浜市)
物価高騰対策支援金の事例として、横浜市の「高齢者施設等物価高騰対策支援金」について解説します。

横浜市では、原油や食材、光熱費の高騰が続く中でも、高齢者施設や介護事業所が安定してサービスを提供できるように支援する目的で高齢者施設等物価高騰対策支援金を実施しています。
サービス種別・施設の規模に応じて一定額の支援金を交付する制度です。
- 対象事業所
-
令和7年1月1日時点で横浜市内に所在し、指定を受けて運営している介護事業所や高齢者施設が対象です。中途障害者地域活動センターなど、介護保険指定施設以外も含まれていることが特徴です。
ただし、物価高騰分をすでに利用者負担で補っている場合(値上げ等)は対象外です。
これは「利用者への影響を極力抑えること」を目的とした制度であるためです。 - 支給金額
-
横浜市では、事業所の種別ごとに定額の支援金が設定されています。
対象事業所・施設種別 支給単価 居宅介護支援事業所、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、福祉用具貸与・販売、訪問リハビリテーション、訪問介護、訪問看護、夜間対応型訪問介護、予防支援、居宅療養管理指導 1事業所あたり5万円 地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、訪問入浴介護、中途障害者地域活動センター 1事業所あたり8万円 通所リハビリテーション、通所介護、看護小規模多機能型居宅介護、小規模多機能型居宅介護 1事業所あたり13万円 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、短期入所生活介護、地域密着型介護老人福祉施設、認知症対応型共同生活介護、介護医療院、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(A型及びケアハウス(一般型))、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護 令和7年1月1日時点における
定員1人あたり2万2千円表:編集部で作成 ※短期入所を空床利用で行っている場合は対象外。
※介護予防サービス・総合事業との重複指定がある場合は、介護サービス側での申請のみ。
- 支給対象となる経費
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物価高騰対策支援金の対象は、事業所が負担する光熱費・燃料費・食材費のほか、物価高騰の影響を受けた経費です。
交付を受けた場合は、当該目的に沿って使用する必要があります。
- 制度の目的と特徴
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この制度のポイントは、使い道の広さとスピードが重視されていることです。
東京都のように燃料費に限定せず、光熱費・食材費までを含めた広い範囲で支援しています。
また、横浜市では交付申請と同時に請求申請を受け付けるため、審査後すぐに支給に移行できる仕組みになっています。次の章では、申請手続きとスケジュールについて解説します。
申請の流れとスケジュール
- 基本的な申請の流れ
-
物価高騰対策支援金の申請は、どの自治体でもおおむね同じ流れで進みます。
年度ごと、もしくは上半期・下半期の単位で募集が行われ、基本的な手順は以下のようになります。STEP公募開始(告知)自治体のホームページや通知文で申請開始日が案内されます。
申請期間は概ね1〜2か月程度。STEP申請書類の提出(オンラインまたは郵送)法人・事業所情報を入力、添付書類などを添付して提出します。
STEP自治体による審査・確認入力内容や添付書類をもとに審査・確認が行われます。
STEP交付決定通知の送付審査完了後、申請順に交付決定通知が届きます。
おおむね1〜2か月程度で支給が始まる自治体が多く見られます。横浜市の場合、申請開始から支給までの流れはおよそ以下の通りです。
横浜市の場合申請受付開始:4月25日
→ 申請締切:6月27日
→ 交付決定(通知)
→ 支給:交付決定後2週間以内に振込このように、スピーディーに支給が行われるのが特徴です。
- 申請方法の違い
-
申請手続きの方式は自治体によって大きく異なります。
全国的に見ると、以下のようなパターンがあります。① 専用フォーム方式
自治体もしくは委託事業者が運営する専用電子申請フォームで申請。
事業所情報や通帳の写しをアップロードし、オンラインで完結。横浜市はこの方式です。② jGrants方式
デジタル庁の補助金申請システムjGrantsで申請を行う形式。
東京都の燃料費高騰緊急対策支援金の場合は郵送での申請を選択することも可能。③ 郵送・持参による紙申請方式
申請書類をダウンロードして郵送または持参で提出するオフラインでの申請方法を採用する自治体もあります。
- 全国的な傾向
-
手続きの簡素化・支給までの迅速化を目的に、委託業者などによる専用フォームやjGrantsなどオンライン申請が中心に行われています。
自治体によって受付期間・申請単位・添付書類が異なるため、必ず所在地の自治体の実施要綱を確認することが重要です。
よくある質問(Q&A)
よくある質問について、横浜市のQ&Aをもとに紹介します。他の自治体とは異なる場合がありますので必ず確認してください。
Q1. 手続の流れを教えてほしい
①事業所から申請書兼実績報告書及び請求書提出(電子申請)
→②横浜市から決定通知書兼交付額確定通知(郵送)
→③横浜市から支払い
Q2. 一法人で、複数の事業所・施設分を申請したいのだが、まとめて1回の申請にできないのか
できません。施設・事業所(サービス)ごとの申請、請求になります。
Q3. お金はいつ頃、振り込まれるのか
申請の受付順に審査を行い、審査が済み次第、交付決定通知をお送りします。
その後、順次お支払いします。早めに御申請いただくようお願いします。
参照:横浜市「令和6年度横浜市高齢者施設等物価高騰対策支援事業(下半期分)について」
まとめ
物価やエネルギーの値上がりは今後もしばらく続く可能性が高く、事業所の努力だけで吸収することは難しいでしょう。自治体の物価高騰対策支援金は今後も継続する可能性が高いため、確実に申請し、活用しましょう。
カイビズでは、こうした緊急的な補助金の申請もサポートしており、複数自治体での申請実績があります。自治体ごとに異なる制度についても確認し、サポートできますので、「手続きが面倒だな」「申請したいけど時間が取れない」と感じたら一度相談してみてください。
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